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佐々木マキさんとの出会いは「やっぱりおおかみ」という絵本でした。
その前に「ムッシュ・ムニエルをごしょうかします」を知っていたのですが、おおかみのほうが強烈な印象を私に残しているので、こう言っています。
佐々木さんについてあまり知らず、雑誌「ガロ」に漫画を載せていたのも最近知りました。
その漫画の原稿から絵本、本の表紙や挿絵のイラストまでを集めたのが、展示会の名前の通り「見本帖」でした。
「おおかみ」も「ムッシュ・ムニエル」もとても不可思議な作品です。
わからないこといっぱい。
それでもお話は進み、そしてわからないまま「え、それで終わり?!」という驚きで終わります。
いろいろ白黒つけたいほうなのですが、自分がなにか読み落としているのかもしれない、と思わせ、何度も繰り返し読み直してしまいます。
そのおおかみや妖しい魔術師のヤギ・ムッシュ・ムニエルですが、佐々木さんの初期の漫画に原型が登場します。
修正の跡がほとんどない、美しい原画です。
白と黒でできている作品(マンガってそうですよね)ですが、黒はどこまでも深い穴のようだし、白は、白なのに違う色がありそうで、不気味な中にどきどきがあるような、とにかく不可思議な世界なのです。
絵本やイラストの作品になると、ぐっとカラーの作品が多くなります。
「やっぱりおおかみ」は黒でもじゃもじゃした「影」のように描かれています。
表情はわからないのですが、どこかわかるような気がするのが不思議なところです。
私はこのおおかみが大好きで。
なかなか自分を受け入れてもらったり、思うようにいかないとき、太く大きなフォントで、ただひらがな一文字「け」がふきだしの中に書かれています。
本当に「け」だけです。
「けっ」と小さい「っ」すらありません。
その潔さと哀愁とがなんとも言えず、幼心に(と言っても小学生でしたが)突き刺さり、大きくなってもいまだにそういう理不尽なことや面白くないことなどがあっても、おおかみを真似して「け」と言って終わりにすることがあります。
「いとしのロベルタ」という作品は、絵本ですが、大人向けの作品で男女の駆け引きのなにかを示唆しているような、そうでないような、思わせぶりなお話です。
それが独特の色のセンスで原画がどんどん並んでいきます。
ところどころ、本物の絵本があって、実際に手に取って読むことができたのは、よかったです。
「はぐ」という幼年期向けの絵本もかわいかったなぁ。
「やっぱりおおかみ」や「ムッシュ・ムニエル」は知らなくても、村上春樹の「羊男」の表紙、と言えば「はいはい」と思う人も少なくないと思います。
すぐに佐々木さんの作品だとわかるものもあれば、「縄文時代の人びと」といったすぐにわからないものもあります。
佐々木さんの作品にはヨーロッパの匂いがするなぁ、と思っています。
だから、縄文時代の人の生活が描かれているのですが、よく見ると佐々木さんの線だし、そして、私にはちょっぴり違和感を感じました。
そして、「ルパンのうちあけ話」はすごくしっくりきました。
最後のお部屋では、佐々木さんへのインタビュー映像がありました。
インタビューではなく、彼のアトリエが少し写り、どんなものが置いてあるかもわかるし、スクラップブック、スケッチブック、作品の下書き、絵コンテなど、「制作の舞台裏」のようなものもちらりと出てきます。
それはとても面白いものでした。
じっくりと座って見てよかったなぁ、と思いました。
ミュージアムショップでは図録などが売っているのはいつものことですが、「ねむいねむいねずみ」や「ムッシュ・ムニエル」、そしてわれらが黒いもじゃもじゃおおかみのグッズも売っていてびっくりしました。
いろいろグッズ化されているのね。
■参考
佐々木マキ見本帖展 - 特別展 - [ひろしま美術館]
佐々木マキ見本帖展 / ひろしま美術館
|2021/06/05佐々木マキさんとの出会いは「やっぱりおおかみ」という絵本でした。
その前に「ムッシュ・ムニエルをごしょうかします」を知っていたのですが、おおかみのほうが強烈な印象を私に残しているので、こう言っています。
佐々木さんについてあまり知らず、雑誌「ガロ」に漫画を載せていたのも最近知りました。
その漫画の原稿から絵本、本の表紙や挿絵のイラストまでを集めたのが、展示会の名前の通り「見本帖」でした。
「おおかみ」も「ムッシュ・ムニエル」もとても不可思議な作品です。
わからないこといっぱい。
それでもお話は進み、そしてわからないまま「え、それで終わり?!」という驚きで終わります。
いろいろ白黒つけたいほうなのですが、自分がなにか読み落としているのかもしれない、と思わせ、何度も繰り返し読み直してしまいます。
そのおおかみや妖しい魔術師のヤギ・ムッシュ・ムニエルですが、佐々木さんの初期の漫画に原型が登場します。
修正の跡がほとんどない、美しい原画です。
白と黒でできている作品(マンガってそうですよね)ですが、黒はどこまでも深い穴のようだし、白は、白なのに違う色がありそうで、不気味な中にどきどきがあるような、とにかく不可思議な世界なのです。
絵本やイラストの作品になると、ぐっとカラーの作品が多くなります。
「やっぱりおおかみ」は黒でもじゃもじゃした「影」のように描かれています。
表情はわからないのですが、どこかわかるような気がするのが不思議なところです。
私はこのおおかみが大好きで。
なかなか自分を受け入れてもらったり、思うようにいかないとき、太く大きなフォントで、ただひらがな一文字「け」がふきだしの中に書かれています。
本当に「け」だけです。
「けっ」と小さい「っ」すらありません。
その潔さと哀愁とがなんとも言えず、幼心に(と言っても小学生でしたが)突き刺さり、大きくなってもいまだにそういう理不尽なことや面白くないことなどがあっても、おおかみを真似して「け」と言って終わりにすることがあります。
「いとしのロベルタ」という作品は、絵本ですが、大人向けの作品で男女の駆け引きのなにかを示唆しているような、そうでないような、思わせぶりなお話です。
それが独特の色のセンスで原画がどんどん並んでいきます。
ところどころ、本物の絵本があって、実際に手に取って読むことができたのは、よかったです。
「はぐ」という幼年期向けの絵本もかわいかったなぁ。
「やっぱりおおかみ」や「ムッシュ・ムニエル」は知らなくても、村上春樹の「羊男」の表紙、と言えば「はいはい」と思う人も少なくないと思います。
すぐに佐々木さんの作品だとわかるものもあれば、「縄文時代の人びと」といったすぐにわからないものもあります。
佐々木さんの作品にはヨーロッパの匂いがするなぁ、と思っています。
だから、縄文時代の人の生活が描かれているのですが、よく見ると佐々木さんの線だし、そして、私にはちょっぴり違和感を感じました。
そして、「ルパンのうちあけ話」はすごくしっくりきました。
最後のお部屋では、佐々木さんへのインタビュー映像がありました。
インタビューではなく、彼のアトリエが少し写り、どんなものが置いてあるかもわかるし、スクラップブック、スケッチブック、作品の下書き、絵コンテなど、「制作の舞台裏」のようなものもちらりと出てきます。
それはとても面白いものでした。
じっくりと座って見てよかったなぁ、と思いました。
ミュージアムショップでは図録などが売っているのはいつものことですが、「ねむいねむいねずみ」や「ムッシュ・ムニエル」、そしてわれらが黒いもじゃもじゃおおかみのグッズも売っていてびっくりしました。
いろいろグッズ化されているのね。
■参考
佐々木マキ見本帖展 - 特別展 - [ひろしま美術館]
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