滞在時間1時間あったかな、という短時間、リヒテンシュタインにいたことがある。
パスポートにスタンプを押すことがなかったので、それを証明するのは数枚の写真だけしかないけれど、それも有効かどうかもアヤしい。
私にとってそんな幻のように訪れた国のお宝がやってきた!
正直、新型コロナがどうなるのかよくわからなかった初夏、「秋になったって、厳しい状況のままかもしれない」と、この特別展を諦めていた。
県立美術館は夏の目玉特別展の延期を決定したし、「海外から美術品がやってくるだなんて、できるのだろうか」と疑問視していたためだ。
2020年度の特別展の中で一番楽しみにしていたので、とっても嬉しい!
できるだけのことをしようと、朝一番で駆けつけたら、開館5分前に到着していた。
ゴージャスな衣装を身にまとった貴族の肖像画から始まり、宗教画、ぴかぴかの磁器、中国磁器にヨーロッパ風の金属を装着した壺、美しい花の絵。
どれもこれも「優雅で美しい」ものだった。
ある意味、甘いお砂糖で包んであるような。
苦しみや黒い心や貧しさが排除されているような。
夢のような時間をそこで過ごした。
宗教画の中に多少流血しているものもあったけど、基本、戦争も政治への風刺も描いていない。
暗い画面は中央の美しい花々を引き立たせるため。
そんな「黒いものが一切ない」。
なんかさぁ。
世の中、自分の身の周りでもつらいこと、暗いこと満載じゃん。
イラつく職場、勝手な家族、思い通りに動けないコロナ、未来もどこまで明るいのか不明で、ニュースもつらいことばかり報道し。
そういうものを「綺麗なものを眺めている間は心穏やかでいられた」感じで、ちょっとの間忘れていた。
美輪明宏さんの言葉に
「文化は心のビタミンです」
というものがあった。
それを思い出していた。
綺麗なものではお腹は膨れないけど、美しいものや芸術、文学、その他の「文化」というものがないと、心がしぼんでしまう。
と強烈に思った。
私はちょっとだけ、こんな絵が飾られた屋敷に住み、こんな食器を使って食事やお茶を飲む「貴族の娘」のような気分になっていた。
最後の部屋は撮影可能だった。
やっぱり、額縁を撮ってみたんだけど(多分、ヘンな人だったと思う)、素敵な茶器がたくさんあって「もっと近くで見たい!」と強く思った。
中でもこのピンクの小さなバラがあしらわれたカップ & ソーサーがいっとうかわいかった。
グッズもこのバラ模様のものがあって「やっぱりなぁ」と思った。
こういう作品を見たあとは、素敵な茶器でお茶をしながら手帳やノートに感想を書きたいよなぁ。
2回の所蔵作品展の展示ではダリの「ヴィーナスの夢」が帰ってきてた!
前回行ったときは貸し出し中だった。
おかえりなさい!
最後の展示室のアジアの布たちが素敵だった。
丸ごと布の特別展ってないかなぁ。
展示室のソファの1つがはではでになっていてびっくりしたけど、それは中央アジアの絹で仕立ててあった。
座ってもよかったので、なでなでしながらちょっと布を眺めていた。
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