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川端龍子展 / 広島県立美術館

2021/06/05

4月2日から始まるはずだった広島県立美術館の「川端龍子展」は、私は一度見るのを諦めた特別展だった。

コロナ禍のため、広島県立美術館もお隣の縮景園とともに3月から臨時休館となった。
緊急事態宣言が全国に発令され、5月連休明けからも延長が決まったとき「あー、もう見られないんじゃろうなぁ」と思った。



それが、自粛が緩和され美術館などが開館できる目処が立った。
川端龍子展は会期延長となり、私は気持ち的には小躍りするほど喜んだ。

広島市には楽に行ける美術館や私好みの博物館はそう多くない。
それでも毎年3月には新しい年度の美術館スケジュールを確認し、どれに行こうか考え、手帳に書き込み、前売券を買いにいくための算段をする。

毎月美術館に行くほどではないので、コロナ禍で美術館が臨時休館になっても「大丈夫か」と甘く考えていたら、違った。
飢えた。
こんなに飢えるとは思わなかった。


館内に入るまでも、入ってからもソーシャルディスタンスを確保し、入館前のサーモグラフィーによる検温、健康確認項目チェックを経て、美術館に入った。

そんなに大変な、非日常っぽいせいか「こ、ここまでたどり着いた!!!」となんだか感動した。




明治生まれの川端龍子について、知識はなかった。
最初は名前を「りゅうこ」と読み、女性なのかな、と思っていたほどだ。
正しくは「りゅうし」と読む。

女の子向け雑誌の表紙もかわいらしかった。
付録のすごろくのデザインも素敵だった。

一方で戦争体験から出てくる作品は迫力があった。
冒頭の写真内にある、チケットにも(ポスターにも)使われている作品はあまりよく見ていなかったので、「綺麗な夏の植物の絵だなぁ」と呑気に思っていた。
しかしこの作品は大振りのものであり、タイトルは「爆弾散華」という。
野菜が投下された爆弾によって散らされる瞬間をとらえたものだと知り、私は大きく驚いた。


繊細な作品を描く人だ。と思っていた。
なので、小ぶりの作品が多いのだろうと勝手に想像してみた。
実際は大作が多い。
屏風に仕立てられているものもある。
戦闘機とパイロットの作品は、構図も、スケルトンな手法も、驚くばっかりだ。





かと思えば、くせっ毛はねっ毛の青獅子のかわいらしいのが、繊細な白牡丹を咥えている作品はなんともキュート!


ほかにも、仏画をたくさん描いていた。



ネットで、ポスターで、チケットで、作品を見ても、実物を見ないとわからないことがたくさんあるなぁ。と思った。







ちなみに最後の3作品は写真撮影可。
コインロッカーを使用したが、スマホ持っててよかった。

展示会場を出たところには「なりきり川端龍子」写真撮影場があったが、コロナのために中止されていた。

この板にのってサメの大作を描く画伯気分、味わいたかったなぁ。

いろんな「おまけ撮影大会」があるけど、今回のパターンは初めてでいろいろ工夫している広島県美の皆さんに対し「ニヤリ」と思ってしまった。




いつか、こういう企画も楽しめる時が来るといいなぁ。

久しぶりの美術館、ありがとうございました。


あちこちにアルコール消毒液は置いてあるし、ソファもソーシャルディスタンス仕様に張り紙してあるし、チケットの半券を自分でもぎってトレイに載せて受付の方に提出するなんて思いもよらなかったし。
できること全部載せ!みたいな感じで、お手間を取らせていますが、そうしてくださるからこそ、美術館の再開館につながっているのだと思う。「これまでやってこなかったこと」は負担を増加させていて大変だと思う。
でもこうした厳重警戒のもと、美術館に行けたことはとても嬉しい。ありがとうございました。

私も体調がちょっとでも悪いときは行かないし、手などの消毒には気をつけるし、県美のお馬ちゃんスタンプがなくてもおとなしくしとく!
だからまた、自分の好きな作品が展示されているときに、行けますように。



■参考
生誕135年記念 川端龍子展―衝撃の日本画 | 広島県立美術館