「フレデリック・バック展」に行ってきました。
「木を植えた男」のアニメーションは知っていて、
あとは、ほぼ日刊イトイ新聞のコンテンツで
「スケッチトラベル」で絵を描いてもらった、と読んだくらい。
(「スケッチトラベル」 ほぼ日刊イトイ新聞 → ★
コラム2,3の「フレデリック・バックのこと」も素敵)
どんな人か、ほとんど知りませんでした。
バックさんは絵がとても好きな人のようです。
だって2歳のときの絵が残っていましたが、
なんだか、ちょっと「フツウ」とちがうぞ・・!!
とにかく、たくさんの絵や作品を見ました。
気になったのは、
彼が戦争を体験していて、
その時のことを克明に描いていたということ。
あの、「木を植えた男」のやわらかななかにある厳しさとやさしさは
こんな体験からも生まれてきたのかしら。
そして、文通相手であり、のちの妻になるギレーヌへの手紙に添えられていた絵の、
楽しいこと、カラフルなこと!
それらの絵の一部は、アルバムに貼ってありました。
きっとギレーヌさんも彼の絵が大好きで、
大事にアルバムにして、
そして何度も見返していたんだろうな。
もし、私がフランス語が読めたなら、
小さな小さな文字で書かれた手紙も読みつくしていたわ、きっと!!
なんて書いてあったのか、とても気になりました。
このカップルの新婚旅行は、
なんとテントと寝袋を携えていくもので、
私はギレーヌさんのことも気になりました。
こんな冒険のような旅行が新婚旅行!
素敵!!
それも今のようじゃなくて、
いろいろ不便も多かったはずだし、
行き先も都会だけではありません。
なんて好奇心旺盛で、素敵な女性なんだろう。
私もしたいか、と問われたら、
「ロマンティックな旅行」と「冒険旅行」と両方したい、かな。
バックさんの自伝を読んでみるといいかしら。
ギレーヌさんとバックさんの夫婦がどんなふうだったのか、
関心があります。
たくさんの作品が展示してありました。
その多くが額装されていましたが、
生のスケッチブックもありました。
旅行先で描いたものは、
スケッチであり、
旅行記でもある。
生の迫力。
旅行先での興奮した空気も感じられて、
私はこのスケッチブックと、
ギレーヌのアルバムが一番好きでした。
生の迫力、と言えば、
バックさんはギレーヌさんの勧めで、
カナダのTV局での仕事もします。
フランス生まれのザックさんがカナダに移住しているのは、
文通相手のギレーヌさんがカナダにいて、
会いにいって、そのまま結婚しちゃったの。
ギレーヌさんがいなかったら、
今のバックさんはいないかもね。
「運命の人」なのかしら?
生放送で絵を描いていくのですが、
これもね、当時の映像が残っていて、
すっごく楽しいの!
迷いなく、ぐいぐいと進められる絵筆は、
もう目が離せません。
子ども向け番組でも人気だったのが、よくわかります。
なにが
どう
描かれていくんだろう・・!
わくわく
どきどき
いや~、ずっと見ていたい!!
この、TV局での仕事が、
アニメーションの世界につながっていくのです。
バックさんの絵の展示から、
アニメーションに関する展示に移ってきました。
原画やセル画、コマ割を見ながら、
アニメーション作品を見ていきます。
映像がど迫力で、
せっかくベンチが置いてあっても
「近過ぎて、目と首が痛いです!
あ、でも通路確保のためにはここがベンチか・・・」
と座ってみたものの、
やっぱり立って見ることになったこともありました。
ここはやはり、広島県人なら「おしい!広島県」と言っておきましょう。
作品を丸々1本、見ることはありませんでしたが、
短編のどれか1本でも全部見たかったなぁ。
アニメーション技術も発達段階で、
バックさんもいろいろ試行錯誤していきます。
その中で、
つや消しセルに出会い、
色鉛筆の風合を生かすやり方も見つかり、
そして、「木を植えた男」が誕生するのです。
膨大な作品を、
まるで源流から大河になり、海にそそぐまでを見るように、
「1本の筋」として見させてくれるこの展覧会は、とても素晴らしかったです。
県立美術館には何度も行っているので、
展示室の構造は知っていて、
「最初はこの部屋」、「次はここ」、「あ、ここまでくれば、もうおしまい」と
いつもならわかるのですが、
今回は作品が小さいものが多いせいか、
空間の区切り方がいつもと違ってちょっと小さめで、
ちょっとした迷路のよう!
(迷うことはありません)
いつもと違って、私は楽しかったです。
バックさんの作品についてあまり知りませんでしたが、
ぜひ、全部見てみたい!と思ったのが
「クラック!」でした。
椅子職人とロッキングチェアの生涯を描いたもので、
その一部はゆったりと会場で見ることができました。
私が今、「おうち」や「自分の居場所」に関心があるせいか、
若い職人が結婚し、
ロッキングチェアに花嫁を座らせ、
やがて妊娠、出産し、
奥さんは赤ちゃんを抱いてロッキングチェアに座ってあやし、
それを別のロッキングチェアに座って職人は幸せそうにながめ、
その子どもが成長し、
新しいロッキングチェアを作り・・・
最後がどうなるのか知りませんが、
なんとなく
「ああ、幸せだなぁ」
としみじみ思えそうな気がするのです。
見てみたいなぁ。
この素敵なロッキングチェア、座ることができるの!
説明によると、
「フレデリック・バック展」の企画を検討しているときに、
バックさんから、この椅子の図面が届いたので、
作成したそうです。
私はひとりで行ったので、
座って写真が撮れなかったのですが、
ロビーにあるので、
いつかお友達と行って撮りたいなぁ。
「クラック!」に出てくるロッキングチェアはbig smileの持ち主です。
このロッキングチェアも、もちろん!
ほら。
いいねぇ。
このにこにこに見守られて生活をする、って素敵かも。
作品数がたっぷりで、
映像もたくさんあるので、
時間をたっぷりとって見るといいです。
アニメーションに詳しい人は、もっとたっぷり!
専門的なことも説明されていましたが、
私にはよくわかりませんでした。
でも、きっと好きな人、詳しい人には
「うををを~!!」
というものに違いありません。
これらを駆け足で見るのは、もったいない。
■ WEBレポーター
このたび、私は7月20日の夕方からあった、
「WEBレポーター」として、この展覧会を鑑賞しました。
県美のTwitterをフォローしているので、
「レポーター募集」のツイートが流れてきたのです。
自分が持っているHPやブログ、Twitter、Facebookなどで、
「フレデリック・バック展」の感想を発信するレポーター募集でしたが、
「事前申込不要」「無料ご招待」という太っ腹な内容に内心、どきどきしていました。
「宮崎駿さん、高畑勲さんが絶賛するバックさん・・
アニメ界の神様バックさん・・
夏休みも始まっちゃうよ、バックさん・・・!」
私は絶対大勢の人がレポーターとして来館するだろうから、
「いや、もうレポーター過多でもういいです」
と断られるんじゃないかしら、
と焦りながら、
仕事をやりくりして、
会場に駆けつけました。
でもね、人はそんなにいなかったの・・
「あー、よかった!」という思いと、
「なんでー?!」という思いとを抱えながら、
手続きを済ませて、
招待券をもらい、見始めたのでした。
ちょっと薄暗くなる頃から見始めて、
ときどき休憩室の窓の外がどんどん暗くなるのも感じて、
「夜の美術館っていいな。
ちょっとしっとりして、落ち着いていて。
でも、ちょっとこわいかな・・」
と思いながら、回っていました。
毎週金曜日、県美は20時まで開館していますが、
仕事の時間と場所とで
「ゆっくり鑑賞する時間」は確保できないので、
1回しか行ったことがありません。
それに、所蔵作品も縮景園も見たかったら、
やっぱり昼間がいいのかな。
いやいや、でも夜もまたいい味があるし、
一度はお勧めします。
レポーターはカードホルダーも首にかけて回るのですが、
ほかのレポーターがすぐにわかって、
びっしりメモした紙を持っていらっしゃったので、
なんとなく、プレッシャー・・
レポーターの企画が終了してからの県美のツイートも
「ハードル、上げたわね・・!!」
とプレッシャーがかかりました。
なので、このブログ、どう書いていこうか迷いました。
おまけに県美Twitterで紹介されていた
レポーターのツイートやブログも読んでしまったので、
ますます緊張・・・
いろいろ悩みましたが、
「いつもの私のスタイルでいこう」と決めました。
それでもいつもより、時間をかけて、書いていますけど。
詳しい内容は実際見てもらうのがいいし、
「まとめ」はなくていいから、
「私の好きだと思ったところ」
「お勧めポイント」
「ちょっと残念だったところ」
をいつものように書いていきました。
こういうプレッシャーが苦手な人には、
レポーターはお勧めしません。
自由にゆったりと見るのがいいです。
でも、紹介されていたレポーターの声の中に、
「レポーターになったからこそ、
いつもより、しっかり見た」
という内容のものがあり、
「そうだそうだ!」と思いました。
集中も、
見る観点も、
いつもより研ぎ澄まされていて、
面白い。
次回、またこういう機会があったら、
また参加したいです。
素敵な夏休みの体験、だったなぁ。
(夏休み、ないけど♪)
ありがとうございました。
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クポ~さん
きっかけは偶然で、そのなかで自分で取りに行った感じがします。
カミーノでもいろんな経験をしました。
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カミーノを歩いたなんて羨ましいです♪
偶然の重なりではないと思いますよ。あなた自身が求めたからカミーノへ導かれたのだと思います。
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映像や写真やってる人間として、これは興味そそるな。
この人の出す、色や空気に包まれるだけでも十分価値ある。
行ってみる。レビューありがとう。