迎賓館に行ってみよう、と思いついたのは、迎賓館赤坂離宮の館長さんのSNSへのポストをたまたま目にしたからだ。
「もっと親しみが持てるSNSにならないか」と部下に告げると「館長のつぶやき、という案が上がっている」とまさかのブーメランで焦っている、というものから始まったほのぼのした(?)ポストが並んでいた。
まさか現役の迎賓館を見学できるだなんて、すごくない?!
私は一人大興奮していた。
この日は東京旅行最終日で、東京駅に近いところをうろうろしよう、と考えていた。
迎賓館も近いと思っていたし「赤坂」とあるのに、最寄りの駅は四ッ谷でちょっと離れていた。
このときはすでにホテルからバックパック on バックパックを背負っていた。当初は東京駅のロッカーに荷物をぶち込む予定だったが、あまりあちこち行かず迎賓館赤坂離宮のみに絞ったので、四ツ谷駅のロッカーに荷物をぶち込み、小さい方の30Lのバックパックとショルダーバッグを背負い見学に行った。
驚いたのは中に入ってからチケットを買うまで。
飛行機搭乗並のセキュリティーチェックがあった。
まず、服やズボンのポケットの中のものを全部、トレイに出す。
持っている荷物もトレイの上に置く。
液体を所持している場合には「一口飲んでください」と言われ、私はペットボトルの水を飲んだ。
そのあと、荷物はX線を通され、許可が下りるまで荷物と離ればなれになった。
自分もなにかゲートをくぐった。多分、金属探知機かなにかを通過しているのだろう。金属のものがないか、何度も聞かれたから。
こうやってやっとチケットの自販機にたどり着く。
館内は飲食はもちろん、写真撮影不可。私のようなバックパックは「前でかかえること」。途中、大きな荷物は預かってくれる場所があった。コインロッカーではなく職員さんに手渡す。タグで管理され、出口付近で(迎賓館正門)受け取るようだった。
建物も館内のあらゆるものも国宝。
ひゃああああああ!
西洋的な建物だけど、日本画のような七宝や日本のモチーフ(兜や日本刀など)もちりばめられているので、欧米の人たちはどことなくエキゾチックに感じるのではないかと思った。
あちこちに職員さんと防犯カメラがあった。
作るだけではなく維持することの大変さもビデオやアナウンスで紹介があった。
とにかく溜息ばかりしか出なかった。
大きなシャンデリアはヨーロッパから輸入したものが多かった。
各部屋には国賓を招いたときの様子の写真も展示してあった。
天皇や首相が会見しているのを見て「ああ、これ、テレビのニュースで見たやつ!背景はまさしくこのお部屋!今あたいが見ているここだよ!!!」とめまいがしていた。
こういう建物は「かつて使われていた」お役目を引き、今では美術館や博物館になっていて中を見学することが多い気がしているけど、ここは現役。
お客様をお招きすることがあると、もちろんこの見学はできない。
それだけではなく、お迎えする準備をしながらも見学のための防犯カメラも取り除き、ルートを仕切るロープも順路の表示もなにもかも撤去しなくてはならないし、おもてなしが終わるとまた見学できるようにそれらを設置しなくてはならない。
ひゃああああああ!
と思いながら、館内を歩いた。
写真撮影不可だった分、しっかり自分の目で見たり、感じたりできたと思う。
館外に出ると撮影可なので、晴天の中あちこち撮って回る。
噴水が綺麗で何枚も何枚も撮ったし、見ていて飽きなかった。調べると数日前に噴水の清掃が終わったばかりだった。そのときは水を抜いているので、この美しさには出会えなかった。ラッキー!
前庭にはキッチンカーが出ていて、「本日のケーキセット」を楽しんだ。
日の傾きがパラソルの影を全然作らず、あっつい中で食べることになったが、なかなか楽しかった。この旅唯一のケーキだった。
私はしばらくここでぼんやりし、五色塚古墳で買った測量野帳に旅についてのメモ書きをした。
カフェ、と名付けられているがキッチンカーでは事前予約をすればアフタヌーンティーも2人分から楽しむことができるそうだ。
それから今回は予約枠がいっぱいだったが「和風別館」の見学もできる。
私は時間がそうないし、体力的にもきつかったので予約しなかった。自分が必ず赤坂離宮にこの日に行く!と決定もできなかったし。
もし関心があれば日時をサクッと決定して、予約を取るのもいいと思う。
しばらくぼんやりし、私は迎賓館赤坂離宮を後にした。
ロッカーから荷物を取り出し、二つのバックパックを合体させて背負い、東京駅に乗り換えて向かった。駅をうろつくこともなく、そのまま新幹線に乗り、家路についた。
この日の朝食となったぴーなっつ最中。フェリー旅で訪れた千葉県で購入。
ピーナッツ餡にクラッシュピーナッツも入った香ばしい一品。
旅では毎日飲酒していたし、ついつい食べ過ぎてしまったため、胃腸が疲れていてこの朝はこれしか入らなかった。これにホテルの部屋で提供されたパウダーのコーヒーとミルクで食べた。
しかしそれだけではすぐにお腹が空いてしまい、迎賓館赤坂離宮に到着した11:00には空腹を覚えていた。
見学には2時間くらいかかると読んだため、先になにか食べることを考えた。
するとあるじゃないですか、迎賓館赤坂離宮前休憩所が!
ここで「迎賓館カレー」を食べて腹ごしらえをした。
他にも美味しそうなメニューはあったけれど、どうやら私は観光客向けのなにかに弱いらしい。東大の中央食堂でも「赤門ラーメン」を頼んでしまったし。
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