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「貨物船で太平洋を渡る」 / 田巻秀敏 著

2023/01/11




いろんな冒険を好む人がいる。

生命を懸け自らを極限状態に追い込むような冒険から、「ちょっとJRの駅4つ分歩いてみるかな(田舎の駅の間は離れていることが多い)。まぁ、5kmくらいですよ」という小さな冒険までいろいろ。

「貨物船で太平洋を渡る」もそんな冒険のひとつだと思う。







内容はタイトル通り、旅客船ではなく貨物船で海を渡るドキュメンタリー。

ドラマでも映画でもないので、派手なアクションやセクシーなラブストーリー、絶体絶命のアクシデントがあるわけではない。

なんとなく、なんだけど潮風とそれによるどこかじめじめした空気と(海からの風は塩気を含むのでどこかじとっとしている)金属とオイルの匂いと、いつ生命の危機に陥っても不思議ではない緊張感と、その「もしも」のために技術を身につけている人たちのなんたらかんたらを感じ取る。

貨物船に乗り込んだことも、近くで見たこともないので全部想像だ。

ただほぼ無人島でちょっぴり過ごしたことがあるので、祖父の小さな漁船(?)や島での暮らしがぐわっと蘇ってきて、それがこの想像につながっているのかもしれない。






この本は個人で出版されている。同人誌、というカテゴリーになるようだ。

具体的な数字や参考がぶわーっと羅列していて、もし次に誰かが「自分も貨物船で海を渡ろうかなぁ」と思ったとき、とても役立ちそうだ。

全体的な費用、細かな費用、具体的にどこでどんな手続きをしたか、などが具体的に!私の最も苦手とする具体的にっっっ!!!書いてある。

誰かが「貨物船で海を渡りたい」と言ってきたら、絶対この本を勧める。なんなら差し上げる。そしてまた買い直すよ、あたいが!ついでに(?!)サインも入れて!とお願いする!…かもしれないししないかもしれない。

サイン云々はさておき、私のスペイン巡礼ブログのように「必要なことは自分で調べな!」という姿勢ではない。

(スペイン巡礼についてはもうかなり前のことなので、もし具体的なデータがあっても役に立たない。あの頃は本もネットも今ほどじゃなかったから、貴重な資料だったけど、今ではすぐに必要な情報はネットでほいほい入手できるよ)





好きなところはやっぱり食事のこと!それから機械のところ!


食事はね。飛行機乗っても、病院に入院しても、こういう「どこか閉じ込められている空間」でのお楽しみは食事だもんね!

特に、特別な食事が2回あってね。それが「楽しそうだなぁ」としみじみ沁み渡る。なんだかじーんとして「いいなぁ」と思う。


機械というのは、特別なエリアに入らせてもらったり、緊急時に電気で動く機械を使わずに、従来の道具と技術で船を動かすことができるという船員との会話の箇所。避難訓練も!

冷静に考えたら「大きな船を安全に航行させる」ってめちゃめちゃ生命がかかっていて、めちゃめちゃ大変で、でもそうやって物や人が行き来しているから自分の今の生活ができる。

と自給率が低い日本で暮らす私は思うし、あまり突き詰めて考えると胃が痛くなって中身が出そうになるからもう考えるのやめるけどさ。






ネタバレになりそうな箇所は自分なりにあまり具体的には書かなかったつもりだけど、大丈夫かな。


さて、この本が読みたい人はどうすればいいか、をここでご紹介。


同人誌 「貨物船で太平洋を渡る」|lemonade_air|note








船かぁ。

四国の本島(?)には何年も上陸してないのう。フェリーで行けるのぅ。




■本日の写真

太平洋や日本海などの外海と無関係な瀬戸内海の子なので、瀬戸内海のフェリーと海、島の写真を盛り込んでみたよ。

11月の終わりのめっちゃ寒い朝っぱらから港の売店でアイスを食べたなぁ。