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人面草紙にヤラれた! / 三次もののけミュージアム [広島]

2021/06/05

広島県の三次(みよし)には「稲生物怪録」という江戸期の物語が残っています。
2019年春にその三次に「日本妖怪博物館 三次もののけミュージアム」がオープンし、秋に訪れることができました。妖怪ですよ。心躍ります。夏には水木しげるさんの「ゲゲゲの人生展」にも行っていますしね。妖怪にまみれてまいりましょう。



入り口の注意事項も妖怪さんがご紹介。傘おばけ、河童、ときて右のおまんじゅうみたいなのは、はて?



中は一部を除いて撮影可でした。
気になるものを撮ってみましょう。立体造形のもののけ。ユーモラスな様子に怖い感じは全然しませんが、でも古い木造一軒家、山奥、一人きり、明かりはろうそくのみ、という状況だったら、きっと怖くてお布団かぶって寝ているかもしれません。あと、マシュマロのあのコかタイヤのあのコを思い出しました。

展示はもののけと印刷技術による人々への伝播についても触れられていて、面白かったです。
酒呑童子などの鬼退治から始まり、各地のもののけの話が印刷技術の発展により浮世絵や本として庶民の手に渡るようになり広がりを見せていきます。



どうです、こちら!
「人面草紙」という書物です。さっきの注意書きで「展示室内通話禁止」と言っていた、おまんじゅうみたい、と私が表現したのはこちらの方でした。
江戸中期に作られましたが、なんて楽しいんでしょう。ちまちま描いてあるのをよくよく見るととてもユーモラスで面白く、「ごちそうごちそう」と騒いでいたり、他のページにはばかでっかい人面さんの顔がどどーんと描いてあったりします。



根付も髑髏やお化けのようなおどろおどろしいものから、ぶんぶく茶釜の狸さんのようなユーモラスなものまであります。
数年前、美術館で根付コレクションを見たことがありますが、あの小ささで奥が深い世界で、これまたいつまでも見ていたかったです。


「稲生物怪録」の部屋は学術的なまとめがありました。
私はこの記録は一つだけ残っているものだとばかり思っていましたが、伝わっている本が幾つかあるのを知り、驚きました。
古い作品は印刷技術が発達していない時代は「書き写す」ことで複製します。そのときに書き間違えたり、写している人が勝手に(?)ちょいと書き足したりして、原本とは異なる箇所があるものも多いです。
紫式部の「源氏物語」もそういった作品の一つで「こっちの本にはある記述が、そっちの本にはない」こともあり、研究対象となります。



特別展の「華麗・妖美なる妖怪絵巻の世界」では、「初心者のための絵巻物の見方」がちょいちょいと短い平易な言葉で書いてあり、とても助かりました。
絵巻物は慣れないと、右スクロールで見ていき、屋根はとっぱらって俯瞰で見て、場面転換の手法にも幾つかあって…ととっつきにくいかもしれません。
展示されていた「百鬼夜行絵巻」では華麗な牛車に乗った天狗とおかめさんは「窓から顔がはみ出している」など場面の説明がちょくちょくしてあり、思わず「ぷふーっ!」と吹き出しながら楽しく見ることができました。


幾つか美術館・博物館を見ていますが、今、そういうものに関心のない人たちにいかに興味を持ってもらえるか、そしていかにして基礎知識を補いながら楽しんでもらえるか、というところに力が入っているのをよく見るようになりました。

新しいお客さんを得るために、これまで通りではいかないのだろうと思います。

これについてはまたいつか、ふれたいと思います。今は長くなるのでこのあたりでおしまい。



最後はチームラボの妖怪遊園地。
お楽しみはいくつかありましたが、中でも「自分でデザインした妖怪が動く」というのは面白いものでした。


まず、好きな妖怪の用紙を選びます。私はもちろん人面草紙!
他にも河童やカラス天狗のようなカッコいいやつや人間の男の子、女の子などもありました。
これに用意してあるクレヨンで色を塗ります。髪型を多少変えてもよさそうでした。


じゃじゃん!
こちらが私の人面ちゃんです。元の人面ちゃんらしさは損なわないように顔や体のラインはほぼ原形のまま。こだわりは紫の反対色の黄色と秋を意識した着物の柄。帯にはまだ色づいていないもみじをあしらいました(線が太くてもみじに見えませんが、いいの。人面着物デザイナー・キリエはそう思っているんだから)。派手ですね。いちょうの葉っぱ、かわいいな。

これをスキャンしてもらいます。その間数秒。チームラボの技術、すげぇ!塗った絵は持ち帰れるようにくるくる巻いて輪ゴムをかけてくれました。

そして壁2面に渡る大画面に……




きゃーっ!人面ちゃーーーーん!!!かわいいよ!かわいいよ!



ほら、ほかのもののけさんたちとおしゃべりしています。他にも謎のポーズを取ったり、踊ったりします。
動きもとてもなめらか。そしてなにげにこの人面ちゃん、頭はでかいですが身体のバランスがいい。スタイルめっちゃいいんです。着物の所作も悪くないし。歩くとお袖もひらひらと動いて、細かいところまで作られています。

色は全体に濃くがっちりと塗ったほうが画面では映えます。



後ろ姿も完璧!帯の模様がちょっと笑えますが愛嬌!

カラス天狗の羽根も滑らかにはたはたと動いて、これも感動。次は天狗を塗りたいな!





楽しんだあとはミュージアムショップを覗きます。
ああ、ここにもあそこにも人面ちゃんがっ!!!
やはりインパクトとユニークな人面ちゃんは人気が高いのか、グッズがたくさんありました。
たくさん手ぬぐいも持っているので「もう買うのをやめよう」と思ったばかりなのに、こればかりは、この人面ちゃんのガーゼ手ぬぐいだけは「次に買う機会がないかもしれないぃぃぃぃ」と購入してしまいました。来夏、私と一緒に暑さと汗と戦おう、人面ちゃん!!!




■参考



放課後ミッドナイターズと稲生平太郎さんもの楽しい動画。平太郎さんの目元の涼しさ、素敵。惚れてまうやろ!









■おまけ

あたいの人面ちゃんを動画で撮ったので、ブログに載せてみます。
しかし編集画面では病院のエコー画像のようなモノクロの画質がよろしくないものが貼りつけられていて、心配。大丈夫?
iPhoneからSafariでBloggerの編集画面開いて直接貼り付けたんだけど。うまく再生しますように。
失敗してたらごめんね。