ヒグチユウコさんの作品は、ネットでちょいちょい見かけていました。
怖ろしく描き込まれた作品は魅力的ですが、どことなくファンタジーというより、メルヘンに含まれる暗くて赤くて黒くてドクドクした不気味さを感じ、距離を置いていました。
縁あって、奥田元宋・小由女美術館に行くことがあり、作品とその世界にたっぷりと浸りました。
作品はどれも細部まで描き込まれていて、その情報量も膨大で、これを一つずつ丁寧に見るのは秋の夜長や冬のこたつが似合いそうです。
かわいいネコさんやキリっとしたネコさんもいましたが、大粒の涙をぼたぼたと流すネコさんにはぎゅっと胸を締め付けられました。
透明水彩絵の具を使う人の中にはご自分で色見本を作る人もいます。自分がよく使う紙に実際に絵の具で濃淡をつけて各色塗ってみるのです。
ヒグチさんの色見本もありましたが、装丁がしっかりした豆本にしたいくらいの描き込み量にくらっくらきました。
絵の具の使い方の説明もあり、チューブの絵の具をパレットに少量ずつ出して乾燥させて固め、彩色や混色のコツも書いてありました。これと色見本はほしい、と思いました。
次第に空気がアヤしくなってきました。
展示場の大きなお部屋の半分に「サーカステント」がありました。
今回の展覧会にはヒグチさんの作品を忠実に再現した立体物がたくさんありました。
ぬいぐるみのクマさんなのに、胸からお腹にかけてふたのようにかぱっと開いて内臓が見えていたり（ふたのほうには肋骨の前側がついていました）。
赤い彩色が血液を表していたり。
直接的表現はないのに、すっごくおどろおどろしい感情を揺さぶられる、というか。自分の中の抑えていた中二病が発症してしまいそうな。
なのに目を背けたくなるほど残酷ではなく、どちらかというと「怖いもの見たさ」をそそられて見てしまうというか。
とにかくすごいエネルギーと魅力が赤と黒とにもわんもわん溢れ出していた空間でした。
いやぁ、いいもの見せてもらったなぁ。
これでけまとめて見る機会はそうそうないだろうし、見せ方も天井の高い空間をたっぷりと使っていて贅沢に見せていただいたな、と思いました。
チケットの柄も何種類もあるようでした。私は当日券の大人用なので赤でした。
グッズ販売も欠品のものもたくさんありそうな棚のすかすか具合でした。
■参考
ヒグチユウコ展 CIRCUS [Higuchi Yuko CIRCUS]
奥田元宋・小由女美術館特別展 ： ヒグチユウコ展 ＣＩＲＣＵＳ
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