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制限をしない男 - タカヤ・モレカウの文章 

2021/06/05



※企画参加用に書きましたが、参加しないことにしました。
しかし、結構な熱量を費やしてこの記事を書いたのでアップすることにしました。

※テーマは「好きなブログを紹介する」。




モレスキン・カウボーイ - タカヤ・モレカウ

私が紹介するのはモレカウの文章だ。
彼の姓はタカヤだが、私は一度も「タカヤさん」と呼びかけたことはなく、ずっと「モレカウ」と呼んでいる。

モレカウは、ノートブック好きが集まるサイト「Notebookers.JP」のサイトマスターである。
仕事のことも聞いたが、なんだかよくわからなかった。
私の印象だと、アートとコーヒーをこよなく愛し、どこででもコーヒーを飲み、ナイフやなたを持ち、カフスボタンも女の子も好きで、モレスキンを始めそのときどきに彼が好きになるノートブックや紙に囲まれていて、LAMYの万年筆にモンブランのボルドーのインクを入れて使っている。


Notebookersは最初からノートブック好きのサイトとして作られたのではなく、モレカウ個人のブログとしてスタートしていたと記憶する。

私は彼の文章が好きだった。

しょっぱなの記事はなんだかよくわからなかったが、彼の絵や持ち物を見るのが楽しかった。
それがいつの頃からだろう。
「モレスキン」というノートブックに出会ってから、彼はどんどん変化していった。

彼にとってモレスキンはなにかを駆り立てるように刺激するものだったようで、ノートブックに書きつけることから始まり、どうやったらぱっと浮かんだことを瞬時にモレスキンに書きつけることができるのかを考え、そして、他の人がどんなふんにモレスキンを使っているのか、へ広がっていく。

その中で、彼は自分のことを「モレスキン・カウボーイ」と呼ぶようになり、略して「モレカウ」となっていく。

そして、ノートブックからノートブックを使っている人へ関心が移っていった、と私は感じている。


この一連の流れが、モレカウのブログのまず最初の読みどころである。



冒頭で、モレカウのことを「よくわからない」と言ったが、全体的に正体不明だ。
一度だけ機会をいただいてお会いしたことがあるが、あれは本当だったのか、たまにちょっと信じられなくなる。

ブログにもそれはあって、彼の人生の欠片のようなエピソードがちらりと書かれている。
なんだか湿気と気温の高いねっとりした大気を感じたり、不思議な女の子とちょっとエロティックなやりとりを勝手に想像させてしまうような、なにかがはさみこまれている。

それから、孤独だ。

「孤独は寂しい。かわいそうだ。仲間がいることがいいことだ」と高らかに言われているのも目にするが、私は苦手。

多分、私がモレカウに強烈に魅かれている理由はこの「孤独」にあると思う。

彼が感じている孤独と私が抱えている孤独は少し似ていると思う。
ほんの少しの香り程度だけど。

それは一人で火をおこして、コーヒーを飲んでいるときの「孤独」のようだ。
「寂しい」ではなく、自分の時間がゆっくりと流れている。
誰の声も聞こえず、自分がいる周りの音だけが聞こえる。

静かな中の川が流れる音、波が砕ける音は、思っているよりも随分大きい。
また、山や森で落ち葉をがさがさと鳴らす音も、小枝を踏んでぽきっと立てる音も、これもまた大きく響く。


私は別に旅人なのではないが、スペイン巡礼にひとりで行ったとき、言葉が通じない中、山や森を抜け歩いていったことを重ねる。
強烈に、自分がひとりだと感じ、巡礼中は寂しくもあったが、10年以上経った今でもなお、あの濃い影を含んだ孤独をまた味わいたい、と求めることが度々ある。


実際にそんな孤独をすぐに手に入れられるわけではないが、モレカウのブログにはそれがある。





なんだか、テツガクする旅人、みたいな人になっちゃいそうだけど、まったく違う面も、彼は持つ。

モレスキンというノートブックは、黒のハードカバーにページが開かないようにゴムバンドがついているのだけど、モレカウは「モレスキンの殺傷能力」について考え、実験する。

それが「おまえは小学生男子かっ!」とツッコミを入れたくなるような発想と実験で、私はこのブログ記事を読んでお腹がイタくなるほどゲラゲラと笑ってしまった。

私は考え込んだり余裕がなくなってしまうと、狭いところしか見ずに「窮屈だ!窮屈だ!」とうんうん悩んでしまう癖がある。
しかし、この実験が持つ柔軟性に私はいつも我に返る。
遊び心、って大切だね。



ところで私はNotebookersでライターをやっている。
ノートブックは好きだけど、綺麗に書き込んだ「見せ手帳」を書いているわけでもなく、「これで人生が変わった!」という手帳の使い方をしているわけでもない。
そう、特化ブログを書いている人にはよくあると想像する「ネタ切れ」となるのだ。

モレカウは自分のTwitterで「制限しない男として定評のあるモレカウです」とツイートするもんだから、私はノートも手帳もなにも関係ないものを書いている。
最初のうちはおそるおそるだったが、モレカウも「制限しません」と言ってくれるので、いい気になって今では大胆に全然関係ないことを書いている(それも、たまに)。



モレカウ個人のブログとして始まっていたのに、いつの間にかNotebookersというサイトに変わっていて、彼の文章もたくさんのライターの記事の中に埋もれていった。

しかし、サイトができる前までのものはひとまとめに小さくまとめられていた。
ブラボー!!!



と、いうわけで私はモレカウのブログ「+++blanq_text+++」を紹介して終わる。






ふー!
たまにラブレター書くのも、いいね!




***

参考

タカヤ・モレカウ

■モレカウのブログ


■Notebookers.jp

Notebookers.jp | How many miles to Notebookers?

■モレカウ Twitter


■Kyrieおすすめ記事(ただしNotebookers)

今日の世界の果て Vol.2 "モレスキンの殺傷能力" | Notebookers.jp