編集

重いカメラを持って旅



秋に2回、旅に行ったけど、両方とも最後に悩んだのはカメラを持っていくかどうかだった。


荷物は極力減らしたはずなのに、40Lのザックがぱんぱんになるってどういうこと?
全ての荷物を背負い、ぎょえ!となりながら「カメラ、置いていこうかな」と思った。


私のカメラの名前は健次郎。
OLYMPUS OM-D E-M10 MarkⅡという、黒いミラーレス一眼。
一眼レフのカメラより小さくて軽いはずなのだが、これまで私が使っていたカメラの中で一番ごつくて重い。

「こいつがいなければ軽くなる」
「iPhoneあるじゃない」


最初の旅行で一緒に回った人たちが、スマホでがんがん写真を撮ってすぐにSNSにあげていて、「ほへ~!」と思った。

手軽だし、カメラがない分軽い。


私の場合、すぐにカメラからiPhoneにデータが送れないので、旅先ではカメラで撮ってスマホで撮ってSNSにアップ、と効率の悪いことをしている。
まぁ、忙しくてSNSに上げる時間も、SNSを眺める余裕もないんだけど。



結局、2つの旅にカメラを担いでいった。
「重い」ことが、「荷物が多い」ことがどれだけ、自分の足手まといになるのかスペイン巡礼でいやというほど思い知らされているにもかかわらず。

理由は「カメラのほうが自分がやりたいことができる」から。
特に単焦点レンズをつけてからは、その傾向が強くなった。

単焦点レンズをつけるとズームができない。
対象物を大きく撮るなら自分が近づき、小さく撮るなら自分が遠くに行く。
これは結構面倒だ。

しかし、「明るい写真が撮れる」。
これは使ってみるまでよくわからなかったけど、今なら「ああ、なるほどな」と思う。
透明感のあふれるきれいな仕上がりになるのだ。

背景をぼかす、というのはあまり使っていない。
普段はF5.6で撮っている(あまりぼけない)。
理由はそのほうが練習になるからとなにかで読んだのと、あんまりぼけの効いたゆるふわ写真を撮る気がないからだ。


露出をいじったり(明るくしたり暗くしたり)、ファインダーをのぞいたり(カメラと私の二人っきり、という蜜月のような時間となる)、シャッターを切ったり(デジタルなのでこの表現が適切かはわからないが、一応シャッター音がして中で機械音がして動いている振動が手に伝わってきて「ああ、写真撮ってる!」と実感できる)する、このことがスマホだと味わえない。


ちなみに「いつでも自分が撮りたい写真が撮れる確率を上げる」ために写真の練習をするそうだが、そういうのは苦手なので(!)、練習しない。
撮れなかったらそれで、「ま、いいかぁ」で終わる。



絵葉書に仕立てたい写真、もたくさんあるけれど、私のは「日常スナップ」をわざわざあれこれ手間暇かけて撮っている。
そんな「何気ない時間」を切り取るのが楽しい。