安野光雅さんと言えば、私になじみのあるものは絵本だ。
好きなのは「あいうえおのほん」や「ABCのほん」。
木製のひらがなやアルファベットが描かれているのに、だまし絵のような脳みそとかお腹の底がもぞもぞするような、不思議なものが描かれている。
そして「旅の絵本」。
そこかしこにネタが仕込まれていて、なんていうんでしょう、知識や教養があるともっともっと楽しめる仕掛けつき。
街の雑踏や森の中に「禁じられた遊び」の映画ネタやら童話ネタやらあれやこれや。
そして必ず現れる謎の「青い服の旅の男」。
そんな安野さんの学校だなんて、わくわくですよ!
なんていうか、私が見ている世界の裏とかもう1枚ベールをはぐったような世界とか、そういうものも見せてくれるんじゃないか、という気になってしまう。
会期が始まって、夏休み前の平日の一番乗り。
ゆったり世界に浸る。
すぐに私は「うわあ」となり、「書くもの!書くもの!」と焦る。
それがタイトルにもある言葉だ。
これは安野さんが初めてのヨーロッパ旅行でパリで出会った青年の言葉。
「勉強をすることはインポータントではないんだよ。インタレストなんだよ」
安野さんもこの言葉に深く感銘を受けるんだけれど、私も「それそれそれーーーー!!!」とひどく揺さぶられた。
そしてこれを手帳にメモりたかったけど、書くものがっ!筆記用具がっ!ペンのみ!!!!
美術館、博物館でメモを取るときは鉛筆!
それもシャーペンのような「ペンと見間違えてしまうもの」より、鉛筆のほうが望ましい。
というのをどこかで読んだことがあった気がして。
困りに困って、そこにいらした学芸員さんに聞いたら「鉛筆、ありますよ!」と貸してくださった!
ありがとうございます。
私はこの言葉を胸に、安野先生の授業として構成されている展覧会を見て回った。
やっぱり安野さんは素敵な先生だ。
ベールを何枚も何枚も剥がした世界を見せてくれる。見方を教えてくれる。
印象的だったのは「かげぼうし」という絵本。
そして「天動説の絵本 てんがうごいていたころのはなし」。
この巻末に安野先生はこんなことを書いていらっしゃる。
知っていることとわかっていることを区別して考えてみてほしい
くはああああ。
これを口の中で転がしながら、「天動説の絵本」の原画と文章を見ていく。読んでいく。
知らないことわからないことがたくさんあった頃、何を信じるのか、というところから始まり、わからないことを誰かが「こうなんじゃないかな」と曖昧に言ったことがまことしやかに「正しさ」や「正義」になり、それを疑うことをせず、その正しさや正義に疑問を持った人などを迫害、殺害していく。
という流れが書いてあった。
まさかこんな展開になるとは知らず、とても心臓がきゅっとなって息が苦しくなった。
そして安野さんの言葉が響く。
地動説を唱えた人はどうなったか。
ペストが流行った原因として「魔女」だと決めつけられた人はどうなったか。
誰かに煽られ、自分の判断基準を見失うことの怖さ。
「それは違う」と言えなくなる世界の怖さ。
わいわい楽しんだり、深く考えさせられたり。とても充実した時間を過ごした。気がついたら所蔵作品展も含めて2時間以上滞在してた。
お土産は安野さんの出身地である津和野のざら茶(まめ茶)。
カワラケツメイというマメ科の植物をお茶にしたもの。
もうすぐうちの麦茶パックがなくなるので、これを沸かして夏を過ごすのだ!
なのでもりもり2袋購入。
おかえり、ぽっぽちゃん!!
これはフェルナンド・ポテロさんの作品「小さな鳥」。
ブロンズですが、タイトルとは違いでっかでかのまるぽっちゃ。
バックスタイルのおけつのあなもなかなか衝撃的です。
さて、このぽっぽちゃんは「広島現代美術館」の所蔵品です。
先日は東京に遠征に行っていました。
なぜ広島県立美術館にあるのかというと、現美が今長期にわたる改修工事でぽっぽちゃんはサテライト展示されてるんですって!
久しぶりに会ったぽっぽちゃんは元気そうでした。
さて、この展覧会には先日仲間になった大輔(Canon PowerShot G5X Mark Ⅱ)を連れて行きました。
操作にまだ全然慣れていないので、わからないまま撮っています。
自分でも驚いているのは思った以上にズームを使って撮影していること。
これまでは単焦点レンズだったのでズームができなかったのに。こんなに寄って撮りたかったのね、あたし。と改めて自分の欲求に気づかされました。
必要以上にF値を小さくしているかも。
やりすぎ注意、ですよ、キリエさん!
■参考
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