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ランス美術館展 / ひろしま美術館

2021/06/05


久しぶりにひろしま美術館で「満足!」と思った。

他の美術館の展示を見てちょっと目が肥えたのか、どうなのか、あるときからひろしま美術館の展示がとてもつまらなくなった。


関心が持てそうにない説明文や展示の仕方。
ちょっぴりは仕方ない部分もある。
1978年に建てられたこの建物は、今の感覚からすると天井も低いし、地下に展示室があるためにバリアフリーとは言い難い。
展示室の広さにも手狭な感じがする。

何度か「もう、こんな展示でこんな作品を見せられるのは、嫌だ!」と怒ってしまったことがあり、少し関心がある、くらいでは足を向けなくなってしまった。



フランスの北東部にあるランス市のランス美術館の所蔵品を見た。
「これぞ、私の中の美術館!」という感じだった。

「私の中の美術館!」というのは、私の小さい頃の体験に基づく。
美術館に行くのが好きだった両親に連れられ、私はわけもわからずに美術館に行っていた、記憶がある。

そこでは「金ぴかの彫刻の細工も素晴らしいゴージャスな額縁」に入った「美しい美しい美しい油絵」をたっぷり見た。
私の中ではこれが「私の中で美術館に行くと言えばこの体験をすること!」となった。



今回見た作品はまさにこれで、私は嬉しくなった。
自分の中の満足度がぐんと上がった。
順路づくりで苦戦のあとがあるけれど、美しいドレスや服を着た人物、綺麗な風景の絵をたくさん見た。

うっとりした。
かつて思っていた「ああ、フランスというところに行ってみたいな」と、久しぶりに思った。
その頃の私は海外旅行なんて気軽にできるものではなくて、自分はヨーロッパに行く機会を持たないだろう、と考えていた。
まるで夢を見るように、「外国に行ってみたい」と思っていた。




展示の後半は藤田嗣治(レオナール・フジタ)が建てた礼拝堂(ノートル=ダム・ド・ラペ、平和の聖母礼拝堂)にまつわる作品。
小さな礼拝堂の壁面のフレスコ画で描いているが、フジタの「大下絵」とも言える原寸大の素描をたっぷり見た。
でっかい!
迫力!
礼拝堂の写真も一緒に展示してあって、「この下絵だけど、実際の壁画ではこう描いたのね」と比較できるのも面白かった。

他にもキリスト教にまつわる彼の絵を見たけれど、いつもは肌の白い女性に猫、みたいな作品を多く見るが、幼いイエスに乳房を含ませている聖母マリアや黒人の女優をモデルにした聖母マリアもなんともエロティックで「さすが、フジタさん!」と思ってしまった。




受付で2017年度の展示スケジュールをもらう。
幾つか気になる特別展があるので、行ってみようと思う。



■参考

ランス美術館展 - 特別展 - [ひろしま美術館]


MMM|ワインとミュゼ


Chapelle Foujita