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私は本棚が持てない

2022/02/112





かつては壁一面が本棚の部屋がほしかった。

天井から床まで全面収納ができ、
本の重さに耐えられて、
文庫くらいの奥行きの本にはスライド式になっていて、
気に入った海外の写真集は表紙を見せて飾れるような、そんな本棚が。





シリーズものはずらりと並び、
自分の好みの本とまんががいくらでも入る本棚に憧れ、
結構な冊数を持っていた。

20代の初め、
ふり返るととても大きい内面の作業をしていた。

その一環で、本棚まるまる一つを処分した。
もちろんそこに収納していた本も。
10代のときから書き始めたノートブックもそのとき一緒に処分した。


それ以降、何度か引っ越しをしたり、
スペイン巡礼をしたりするうちに、
本はどんどん減っていっている。

何冊か持っているけれど、
それは実用書だったり、
本当に気になる作者の本。

本を買っても、すぐに手放してしまう。


本がないので、本棚を持つ必要がない。



「帰るおうち」がいまだにない。
という感覚を持っているせいかしら。


こういうわけで、
私は本棚が持てない。