ヴォノが望んだのは、
「『レオン』でジャン・レノがかぶっている浅い黒のニット帽みたいなの」
でした。
下手ながらも編みました。
途中、母親と大喧嘩して、
随分編んだのをほどいたりしました。
原因は、ずっとずっと幼少の頃から解消されていない親子関係です。
そのときは、
「もう編むものかっ!」
と思いました。
けれど、ヴォノは毎日ぼろぼろになって働いているので、
私ができる、「彼を元気づけること」の一つは、
「黒い帽子を編む」ことだったのです。
思い直して、編みました。
間に合いそうになかったので、
神戸にも持っていって、編みました。
何も言わず、ヴォノに編みかけの帽子をかぶせました。
深さをみてもらうと、少し長かったので、
またほどきました。
そして、神戸で過ごす最後の日の朝、無事に完成しました。
「LEON」と名づけました。
ヴォノはその日、ずっとかぶっていました。
こうやって、私の編み物の季節は終わりました。
やっぱり苦手。
そして、このニット帽にいろいろなドラマがあったことは、
ヴォノにはあまり話していません。
だって、どれだけ苦手だと話しても、
ヴォノにしたら「上手に編めてるよ!」で終わってしまうからです。
■ 本日のクリスマス
旧居留地十五番街にて。
突然、北野にある異人館のようなかわいらしい建物が
旧居留地にあるのです。
そこはカフェになっていて、
優雅なお茶の時間が持てます。
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