面白そうな美術番組があるな、と視聴した。
NHKの美術番組といえば「日曜美術館」がすぐに思い浮かぶ。
アナウンサーとメインコメンテーターのような人とその回の専門的分野の方か、取り上げている分野の大ファンで熱く語れる方などを迎え、圧倒的な撮影技術と歴史的技術的裏付けをもって番組は進んでいく、アレである。
面白いけれどとっつきにくい。
作品やアーティストの人生、歴史的背景、美術史、その国の当時の風俗などの知識があればすごく楽しいんだろうなぁ、と思う。
しかし、私はそういうふうに鑑賞しないので、根気よく番組を見続けることができない。
さて、BAEBAE美術館、とは、美術館に行き、自分が気になった作品の一部を写真にし、切り取り、インスタのようにして、ハッシュタグという名のタイトルや気になることばを添えて発表する、というスタイルの楽しみ方をする番組だった。
初回は岡本太郎。
原色や独特の黒い太い線、ぎょろぎょろした目玉やうねる人魂みたいなのとか、とにかくエネルギーがえらいことになって迫ってくるあの作品たちだ。
まずは一つの作品を取り上げ、4人が自分が気になった部分を紹介してトークしていく。
次は展覧会全体の中から自分が気になった作品の部分を紹介してトーク。
同じ作品を見ているのに、くっきりと鑑賞者の人が露わになってびっくりするほど。
そういう意味ではめっちゃ面白かった。
選ばれた作品が、いろんな要素がありすぎて「うわああああ」となるものだったけど、それにしても「響くの、そこっ?!」って感じで笑いながら見ていた。
発表しても誰もそれを否定せず「そうか、そういう見方があるのかぁ」と和気藹々としているのもよかったなぁ。
美術のエライ人の岡本太郎や作品に対する解釈は納得いかないものもあったけど、その作品が作られた歴史的背景や、岡本さんがそのときどこにいたのか(パリとか日本とかピカソを意識していたとか、そういうの)をちょこちょこ教えてくれるので、面白さに深みが出た。
番組の流れが単調になる部分もあって、これは続けばこれからだな、とも思う。
そしてタイトルのBAEは「インスタ映え」の「バエ」なんだそうだが、そろそろ「映え」も鎮まったような気がするので、うーんと思う。
Instagram風に切り取る、というのはわかるけど、これは「映えポイント」じゃないんじゃないかなぁ、ともやもやしたものが残ってしまった。
でも他のキャッチーななにかで説明したり、置き換えたり言い換えたりはいいアイデアが出てこない。むう。
日本だと美術館、博物館に行っても写真撮影は禁止のところが多い。
作品保護や、写真に夢中になって本物を見ないとか、どうしても混雑しがちになる、著作権などいろんな理由があるのだろう。
でも、写真に撮るの楽しいし、一部のみ撮影可の展覧会も出ている。
作品や作者の背景を知らなくったって、美術史や制作のための技術を知らなくったって、美術というものは楽しめるのだと、私は思う。
次回の予告はなかったけど、「(1)岡本太郎の巻」とあるので、続編があるといいなぁ、と思う。
■広島の太郎ちゃん
冒頭の写真は広島市内にある、誰でも見ることができる太郎ちゃんの作品。
番組内で、岡本太郎の作品は美術館だけではなく日本各地にある、と通りや建物の前のオブジェが数点紹介されているのを見て、思い出し、撮りに行った。
■おまけ
広島市内の案内板。
「ペンキぬりたて」のため、文字は紙のコピーが貼られていて笑った。
そして観光客も、住んでいる私も強く思う「なぜこの字体にした?!」問題の案内板だ。
このフォントはまんがなどでは、おどろおどろしいホラーなどで呪いとかおぞましい台詞でよく使われるので、私はすんごく好きぢゃない……!!!!
BAEBAE美術館
美術館で写真を撮るの、好きですか? 作品の気に入ったところ・気になるところを撮った写真を持ち寄って、それをサカナにわいわいトークする「BAEBAE美術館」。 メンバーは、美術大好き・松下洸平さん(俳優)、Eテレ「びじゅチューン!」の井上涼さん(アーティスト)、おしゃべりはおまかせ加納さん(Aマッソ)。 美術の大御所・青柳正規先生(東京大学名誉教授)のおもしろものしりトークでもりあがるスタジオ。
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