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私の周りにはいろんな「かもしれない」があふれているかもしれない / 「ヨシタケシンスケ展かもしれない」 ひろしま美術館

 





「人気があるので整理券配布する」というのは、ひろしま美術館のSNSでも知っていたけど、前売券を買ったときにも伝えられた。

そんなに人気があるなら、できるだけ人が少ないときを狙おう!と月曜日の朝イチに行くことにした。


行ってみてからのことをこれから書いたり、写真貼ったりするけど、「今から行く!」あるいは「今後別の会場でもいいので「行くかもしれない」場合は「ネタバレなしでまっさらで見てほしい!!」と思う。

ヨシタケさんの著作に「りんごかもしれない」という絵本があり、展覧会を見た後の男の子がなんでもかんでも「かもしれない」をつけておしゃべりしていた。

なので私も「ネタバレしないほうがいいかもしれない」と言いたいところだが、声を大にして言う。

何も知らずに行ってきて!!!

見てきて!!!

やってきて!!!

カメラ持っていくのもいいよ!!!!

ほんとまぢに!!








さぁ、言うことは言いましたよ。

いいですか。ここからは※ネタバレあり ですからね!

いきますよ!



***




ヨシタケシンスケさんは「もうぬげない」という絵本で知った。

かわいいけど、どこかぬけていて、でも主人公のコドモは大真面目で。

私もシャツが脱げなくて泣きそうになってとても困っているのに誰も助けてくれなくて、なのに「ぐずぐずして!」と怒られてさんざんだった。

結構オトナになって読み返した絵本「ロッタちゃんのひっこし」のロッタちゃんはなかなかパンチのある女の子で「ちくちくするから!」とセーターをハサミで切り刻んでしまう。

今のアタイなら「こんなシャツなんて!!!」とハサミで切り刻んでしまうだろうけど、コドモのアタイにはそんなこともできず、理由を聞いてもらえず、理不尽な悔しさと恨みが残る思い出だ。

そんなことを思い出しながらヨシタケさんの本を読んだ。



本格的にヨシタケさんの本を読むことはなく、ご本人もテレビのトーク番組や動画や記事のインタビューなどでちらりちらりと見ていた。

なので彼がメモとしてM6と言われるシステム手帳のリフィル(縦約12.6cm×横約8.0cm)を持ち歩き、気になることを書きつけていることは知っていたが、





本物を見ると「ちっちゃ!!!」








その小さな紙面に「もっとちっちゃ!!!!」と叫びそうな小さなイラストとことばが描いてある。

それが板の壁一面に展示してあるのを見て「上のほうは見えんじゃん!!!」と思った。







ヨシタケさんのちっちゃなちっちゃなメモをくらくらするくらい見せつけられたあとは、

  • ヨシタケさんの本ができるまで
  • アイディア出し
  • ヨシタケさんが好きなもの
  • どうしてヨシタケさんになったのか
  • ヨシタケさんが絵本作家になるまで
などなど、コドモもオトナも楽しめるゲームやヨシタケさんのアイディアを立体化したものがわんさと展示されている。




デビュー作「りんごかもしれない」ができるまでの資料。

そしてどの資料もジップロックに入って展示。

これはジップロックで保存されているのかどうなのか。

他にも手書きのメモがどうやってもコピー用紙にしか見えない件。

すげぇな。私ならバラバラの紙は保存できずに困り果てているんだけど。





自分もりんごかもしれない、と思ったけど、どうやらりんごではないらしい。







これの続きが気になって、この原稿が収まっている本「ものはいいよう」を図録とともにショップで購入。

最近、ミュージアムショップで買い物しない、本を買わなくなっているので、すっごい久々。珍しい。







ヨシタケさんは大学生の頃、立体造形を造っていらっしゃったので立体的な作品もたくさんあった。

下の写真はマリア様ではなくて、「ぶくぶく観音」という作品。水やジュースに入れたストローから息を吐いてぶくぶくさせている様を観音様で表しているのだろうか、と私は解釈した。意図は説明されていなかったが私としては「観音様だってこんなことしたい」というのと「コドモがやると怒られることだが観音様もやっているとなるとそうそうは怒られないゾ」というのとを考えた。自分もやりたくなった。やるならシャボン玉液がいいな、と思った。楽しいもん。





最後のお部屋はヨシタケシンスケさんからのメッセージ。

ここについては写真を載せるのをやめておこうと思う。

自分のために写真は撮ったけれど、あそこはネタバレだめだ。






ヨシタケさんが「こんな絵本を作ろう」とするきっかけは、なんとなくだけど、生きていくのにちょっと不器用な人がしんどくなっているのを「ちょっと視点を変えればいいよ」、「がんばるってなんだろうね」、「脳みそをこねこねしちゃうのはどうだろう」など、ちょっと楽しくて、ちょっと息抜きできて、ちょっとラクになるものを提供しているように私には思える。

どこから湧いてくるのかわからないけれど、ヨシタケさんからは「最後まで生き抜くんだよ」と言われている気がしている。


そんなにがんばっている私のこの先へのエールと「~かもしれない」と言っちゃえばなんでも言えちゃうからそんなに構えずに肩の力を抜きなさい、というメッセージのような気がして、ぎゅんときてちょっぴり涙がもれたろうになるかと思った。











ほんとにね。ほんとにね。

いつかヨシタケさんの展覧会に行ったことを思い出すかもしれないし。

いつか私がここで展覧会をするかもしれない。

未来はいつでもあやふやでいろんな「かもしれない」であふれているね。


***



さて、限定メニューをおすすめされたかもしれないので、見終わったらさっそくカフェに行きましょう。

今回のコラボメニューは楽しい!!!





りんごかもしれないケーキと絵本「ころべばいいのに」に登場する「アイツ」のカプチーノですよ。

りんごはほんとに上手にりんごになっていて、なかなか楽しい!

中身の解説もすぐにはわからなくしてあるので、わくわくしながら食べるのも楽しい!


カフェでは手帳に感じたことなどを書いた。


このあとショップでお買い物。

ほくほくで美術館を出る。


想像以上に面白くて楽しかったああああ!

大人気で整理券配布の必要があるのがわかるなぁ。

ありがとう、ヨシタケさん。ありがとう、スタッフの方々。





ヨシタケシンスケ展かもしれない - 特別展 - [ひろしま美術館]

会期中無休9:00~17:00(入館は16:30まで) 「かもしれない」で広がる世界 ...