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こいこい食堂 / 縮景園

2021/06/05

今年も縮景園に「梅狩り」に行った。
チケット売り場でなんとはなしに、コイのエサを買った。いつもは買わない。



大きな蠟梅があるのを長年気づかずにいた、という事実も発覚したところで、好きな梅林に向かう。まだつぶつぶのつぼみが多いが、それでも1月の終わりにこの開花具合、早いよ。
2月中旬に梅見茶会があるけど、それまで花が持つのか勝手に心配になる。
以前はそのお茶会のときに全然開花していなくて、つぶつぶもしていない硬いつぼみを見ながらのお茶会に出くわし、とても気の毒に思ったことがある。




さて、始めますか。
縮景園の真ん中には池があり、そこにコイがいる。
池にはちっちゃな橋がかけられていたり、飛び石が置かれていたり、とコンパクトだけど違う趣が楽しめるようになっている。

のんびり池の周りを歩きながら、コイを見かけたらエサを投げてやる。
上手に素早くぱくぱく食べるのもいれば、「ああっ、そこじゃないっ!もうちょっと!右!右!」と応援したくなるのもいる。





池の真ん中には「ザ・縮景園」と言える跨虹橋(ここうきょう)がある。兼六園の石灯籠みたいなシンボル的なものだ。
その橋を渡ろうとすると、コイの影が数匹。

ん?
と思った。

私はまだエサを投げ入れていないのに寄ってくるコイ。
これは……。さては人慣れしてますね!
人影があるとエサがもらえるかもしれない、ってことですね!
想像だけど。
魚が人影に寄って来たらマズいだろう、野性なら。

そんなことをぼんやり考えながら、エサをちょっとずつまく。
すると、どんどん。
どんどんどんどんどんどん。

ほんとにどんどんどんどんどんどんどんどん!

「お客様っ!お待ちください、お客様っ!はいっ、た、ただいまっ!ただいま、エサをまきますから押さないでくださいっ!」

「ああ、こちら側にもっ!はいっ!はいっ!はいっ!」

「ええええええっ、新規のお客様でいらっしゃいますかっ!」

「うわっ、まだいらっしゃるのですかっ、お客様ー!」

と、ひとり食事処ごっこをしながら、どんどん集まってくるコイの数にびっくりしながらエサをまき続けた。
想像以上に集まってきて、驚いた。


「お客様ーっ!これにてっ!これにてこいこい食堂は終わりにいたしますっ!売り切れですっ!」

全部まき終わったときには軽く疲労感を覚えていた。迫力あったのう。


一緒に来ていた母が「あんた、100円のコイのエサでえらい楽しんどるね」と言った。

ああ、楽しかったともっ!





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母のことばの「えらい」は、「すごい」の意。広島弁。





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