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旅人のねこがいました。
黒いリュックを背負い、赤い帽子をかぶって歩いています。自分が気に入った「世界の涯て」で焚火をするのが好きです。
世界の涯ては大概、海に面した断崖絶壁でした。下から上がってくる風の影響を受けない場所を注意深く探し、リュックをおろすと小さな焚火をおこします。
その火でお湯を沸かし、お茶をいれて飲むのも好きでした。もちろんその火であぶったソーセージにかじりつくのも、お餅を焼くのも好きでした。
たまにねこの焚火に通りがかりの人が当たっていくことがありました。近くに暮らしている人のこともあり、ねこと同じように旅をしている人のこともありました。
ねこは気が向くとその人にお茶を淹れて、小さくおしゃべりをしました。それは短いけれど楽しい時間でした。
ねこは旅人なので自分の気が済むとその場所から離れていきます。出していた寝袋もナイフも小さな鍋もリュックにしまうと、火の始末をし、また歩き出します。
ある時、ねこは思いました。
いつもは一匹か二人分の小さな焚火をおこしているけれど、五人分の焚火をおこしてみたらどうなるだろう。
ねこのリュックには小さなオレンジの旗がくくりつけられていました。他にもオレンジの旗を持っている人はいるはずなのに、滅多に出会うことがありませんでした。
あるいは出会ってもお互いに会釈をするだけで通り過ぎたり、遠くから眺めているだけだったりしていました。
普段は強く思うことはありませんでしたが、ねこは「五人分の焚火をたくからオレンジの旗を持っている人やかつて持っていた人、今から持ちたいと思う人が集まるのは面白いかもしれないな」と思いついてしまいました。
ちょっとだけ考えると、ねこはそうすることにしました。すぐにいつもより広い場所を見つけ、そこで焚火をすることにしました。
オレンジの旗を持つ人に焚火のことを伝えなければなりません。風に乗せ、小鳥に託し、絶壁から大声で叫ぶこともしてみました。
それからいそいそと薪を少しずつ集めたり、自分の紅茶のストックを確かめたりし始めました。
聞きつけた人の何人かが薪を一緒に集めてくれたり、小鳥に託し小瓶を海に流したりもしてくれました。
ねこは寝袋の中で想像しました。
「焚火がどんなものかのぞきにきてくれるだけでも嬉しいな。おしゃべりをしなくてもいいから、こんな焚火をたいているんだと感じてくれるだけでもいいなぁ」
しかし、食いしん坊のねこはすぐにこうも思いました。
「誰かビールを持ってこないかなぁ。ソーセージ焼きたいよね。マシュマロは好きな人が焼いたらいいや。お湯が沸かせるからカップスープも飲めちゃう。パンも用意しておかなくちゃ」
くふふ、と寝袋の中で不気味な笑い声がしました。
一方でねこは25日という長い間、火を絶やさずにいられるか心配もしていました。見たことはありますが、自分でやったことがなかったからです。
「もし消えても、また火を起こせばいいや」
ねこは火があるありがたさを思い出しました。
調理した温かい食べ物が食べられるのはどんなに幸せなことか。暗闇の中で明るいというのはどんなに安心するのか。
小さな火が森の木々の合間を抜けて誰かの元に届くこと。遠くの島や海を行く船の手がかりにならないか。
そんなことを考えていると、ねこはうとうとしてやがて寝袋に潜り込んでくーくーと寝息を立てていました。
***
こんな気持ちでAdvent Calendarが始まるのを待っています。
よかったらのぞいてみてください。
Google Blogger Advent Calendar 2019 - Adventar
Google Bloggerだってつながりたい / Google Blogger Advent Calendar 2019 参加者募集のお知らせ #ブロガラー2019
なお、参加する方でTwitterのアカウントをお持ちの方は、グループDMにご招待いたします。希望者のみですので、強制ではありません。
「参加を決めたけれどこの緊張をなんとかしてほしい」
「どんなふうに書いたらいいのかわからない」
「ちょっとおしゃべりしたいなぁ」
というときにご利用ください。
またこのイベント、およびグループDMはつながりを強要するものではありません。DMという性質上、一時的に私と相互フォローになる必要もありますがすぐにフォローをはずしていただいてかまいません。
そして参加者の方にも同じことをお願いしたいと思います。
自分で言うのもなんですが、このイベントに参加して劇的にPVが増える、SNSのフォロワーが増えることはないと思います。それを目的にされる方は、参加されないほうがいいと思います。
「この人、面白いなぁ」「もっとお話聞きたいなぁ」「ブログ更新情報逃したくないなぁ」と思ったとき、アクションを起こしましょう。
お一人ずつグループDMにお誘いするリプをしようと思いますが、「手っ取り早くグループに入れてくれ!」という方はキリエのTwitterにその旨のリプライをください。がしがし入れていきます。
12月が始まるまで、もう少し。
よろしくお願いいたします。
Kyrie
■おまけ
ちなみに私はまだ一文字も書いていません。
いやぁ、あのね。12月1日担当だと思って1つは書いたんですよ。でも順番変えたし、それに内容がちょっと「おんどりゃあ、ケンカ売っとんのか、われ」みたいな部分もあったので削除しました。
これから書きますが、先が長いので短いものを書き連ねるかもしれません。
せかいのはてでおちゃをのむ #ブロガラー2019
|2021/06/05旅人のねこがいました。
黒いリュックを背負い、赤い帽子をかぶって歩いています。自分が気に入った「世界の涯て」で焚火をするのが好きです。
世界の涯ては大概、海に面した断崖絶壁でした。下から上がってくる風の影響を受けない場所を注意深く探し、リュックをおろすと小さな焚火をおこします。
その火でお湯を沸かし、お茶をいれて飲むのも好きでした。もちろんその火であぶったソーセージにかじりつくのも、お餅を焼くのも好きでした。
たまにねこの焚火に通りがかりの人が当たっていくことがありました。近くに暮らしている人のこともあり、ねこと同じように旅をしている人のこともありました。
ねこは気が向くとその人にお茶を淹れて、小さくおしゃべりをしました。それは短いけれど楽しい時間でした。
ねこは旅人なので自分の気が済むとその場所から離れていきます。出していた寝袋もナイフも小さな鍋もリュックにしまうと、火の始末をし、また歩き出します。
ある時、ねこは思いました。
いつもは一匹か二人分の小さな焚火をおこしているけれど、五人分の焚火をおこしてみたらどうなるだろう。
ねこのリュックには小さなオレンジの旗がくくりつけられていました。他にもオレンジの旗を持っている人はいるはずなのに、滅多に出会うことがありませんでした。
あるいは出会ってもお互いに会釈をするだけで通り過ぎたり、遠くから眺めているだけだったりしていました。
普段は強く思うことはありませんでしたが、ねこは「五人分の焚火をたくからオレンジの旗を持っている人やかつて持っていた人、今から持ちたいと思う人が集まるのは面白いかもしれないな」と思いついてしまいました。
ちょっとだけ考えると、ねこはそうすることにしました。すぐにいつもより広い場所を見つけ、そこで焚火をすることにしました。
オレンジの旗を持つ人に焚火のことを伝えなければなりません。風に乗せ、小鳥に託し、絶壁から大声で叫ぶこともしてみました。
それからいそいそと薪を少しずつ集めたり、自分の紅茶のストックを確かめたりし始めました。
聞きつけた人の何人かが薪を一緒に集めてくれたり、小鳥に託し小瓶を海に流したりもしてくれました。
ねこは寝袋の中で想像しました。
「焚火がどんなものかのぞきにきてくれるだけでも嬉しいな。おしゃべりをしなくてもいいから、こんな焚火をたいているんだと感じてくれるだけでもいいなぁ」
しかし、食いしん坊のねこはすぐにこうも思いました。
「誰かビールを持ってこないかなぁ。ソーセージ焼きたいよね。マシュマロは好きな人が焼いたらいいや。お湯が沸かせるからカップスープも飲めちゃう。パンも用意しておかなくちゃ」
くふふ、と寝袋の中で不気味な笑い声がしました。
一方でねこは25日という長い間、火を絶やさずにいられるか心配もしていました。見たことはありますが、自分でやったことがなかったからです。
「もし消えても、また火を起こせばいいや」
ねこは火があるありがたさを思い出しました。
調理した温かい食べ物が食べられるのはどんなに幸せなことか。暗闇の中で明るいというのはどんなに安心するのか。
小さな火が森の木々の合間を抜けて誰かの元に届くこと。遠くの島や海を行く船の手がかりにならないか。
そんなことを考えていると、ねこはうとうとしてやがて寝袋に潜り込んでくーくーと寝息を立てていました。
***
こんな気持ちでAdvent Calendarが始まるのを待っています。
よかったらのぞいてみてください。
Google Blogger Advent Calendar 2019 - Adventar
Google Bloggerだってつながりたい / Google Blogger Advent Calendar 2019 参加者募集のお知らせ #ブロガラー2019
なお、参加する方でTwitterのアカウントをお持ちの方は、グループDMにご招待いたします。希望者のみですので、強制ではありません。
「参加を決めたけれどこの緊張をなんとかしてほしい」
「どんなふうに書いたらいいのかわからない」
「ちょっとおしゃべりしたいなぁ」
というときにご利用ください。
またこのイベント、およびグループDMはつながりを強要するものではありません。DMという性質上、一時的に私と相互フォローになる必要もありますがすぐにフォローをはずしていただいてかまいません。
そして参加者の方にも同じことをお願いしたいと思います。
自分で言うのもなんですが、このイベントに参加して劇的にPVが増える、SNSのフォロワーが増えることはないと思います。それを目的にされる方は、参加されないほうがいいと思います。
「この人、面白いなぁ」「もっとお話聞きたいなぁ」「ブログ更新情報逃したくないなぁ」と思ったとき、アクションを起こしましょう。
お一人ずつグループDMにお誘いするリプをしようと思いますが、「手っ取り早くグループに入れてくれ!」という方はキリエのTwitterにその旨のリプライをください。がしがし入れていきます。
12月が始まるまで、もう少し。
よろしくお願いいたします。
Kyrie
■おまけ
ちなみに私はまだ一文字も書いていません。
いやぁ、あのね。12月1日担当だと思って1つは書いたんですよ。でも順番変えたし、それに内容がちょっと「おんどりゃあ、ケンカ売っとんのか、われ」みたいな部分もあったので削除しました。
これから書きますが、先が長いので短いものを書き連ねるかもしれません。
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