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すいちゃんとともに / 右手火傷

2019/10/21

191002
火傷の水ぶくれはどんどん大きくなっていった。
それを見てスペイン巡礼のことを思い出した。巡礼中、出会った日本人女性が靴擦れでできた水ぶくれのことを「金魚」と呼んでいた。なるほど、目の下の袋に液体がぷくぷくに詰まった金魚みたいだ。その金魚は「水泡眼(すいほうがん)」という。私は自分の水ぶくれを「すいちゃん」と呼ぶことにした。

すいちゃんは薬指が一番大きかった。どんどん大きくなり、離れていたところにあったすいちゃんと合体した。液体ぷくぷくのいもむしのようになった。時々電灯に透かして見ていた。

休みが終わり、軟膏を塗ってラップでガードしながら仕事に行った。特に支障はなかったが「それ、病院に行ったほうがいいよ」と言われた。
SNSでも言われていて、もちろんおうちの人にも言われたけど、行く気がなかった。
というのも近くの病院の先生はちょっと不信感を持っているから。すいちゃんがつぶされちゃったらいやだもん!

しかし、すいちゃんは第四形態まで巨大化し、さすがにこれはまずいと思い始めた。これですいちゃんが小さくなればそのまま放置しておくつもりだった。ついに病院に行くことにした。
近くの皮膚科に行くことにしたが、なんと水曜定休!火曜の夜に調べていてがっくりした。もう一つの皮膚科は評判が本当によろしくない。
皮膚科以外だとなんだ?と調査続行(?)。すると形成外科でもよいとあった。受診したことはなかったがちょっと気むずかしげなおじいちゃん先生を見かけていたことがあったので、そこに行った。
先生は代替わりしていたようだった。先生は見るなり「ちょっと深い火傷ですね」と言った。

すいちゃんは薬指と小指だけではなく、前日から中指にも出現していた。先生は3本まとめて薬指を塗りガーゼでぐるぐるにするとおっしゃった。
ヤメテぇ!お仕事できなくなる!
「ガードはしておいたほうがいいですから」と、黄土色半透明の乾燥湯葉のごっついのみたいなテープを1本ずつ指に巻くことにした。
すいちゃんはつぶされなかった!すいちゃんの防御力が上がった!
週末、また受診することになった。

これまでラップを外して水仕事ばりばりやっていたが、基本水濡れ禁止となってしまった。不自由が出てくるが、すいちゃんと乗り切ろう。



例によって冒頭の写真が内容と違うのは、少しでも紛らわせたいからさ。







■追記 191002
  • なんとこの記事を書いたあと、出勤し帰宅したらすいちゃんますます巨大化!ガードのテープからはみ出してきた!
  • このテープ、すっごいみっちみちに貼ってあって指が曲がらないほど。そしてついに指がむくんだかなにかしたにもかかわらず、締め付けが強いため指が痛くなってきた。先生から「はがさないでね」とは言われたけれど、これはツライ。というわけで、薬指は少し端をはがして締め付けをゆるくしてみた。ふぅ。


■右手火傷シリーズ