編集

挑む浮世絵 国芳から芳年へ / 広島県立美術館

2021/06/05

浮世絵のおいしいところの一つに「構図」があると思う。

浮世絵だけではないけれど、私は浮世絵の中の構図をはっきりと意識しない中で楽しんでいる。


歌川国芳の作品は数年前、特別展でたっぷりと見ることができた。
彼の作品は大胆な構図と強弱のついた見せ方とちょいちょい挟み込まれるユーモアにあふれていて、すんごい楽しかった。

今回も改めてそれを楽しんだ。




国芳にはたくさんの弟子がいた。
娘も弟子になっていたが、私でも知っているのは月岡芳年だ。

芳年の作品はこれまでも見たことがあるが、数作品をちょびちょび見ただけで、これだけまとめて見たのは今回が初めてかもしれない。

彼がとても印象的だったのは「血みどろ」表現だった。
今回、それを生で見た。
膠(にかわ)を混ぜた絵の具で摺る。
するとぬらぬらと「乾いていない、ねっとり」とした血がそこに現れる。
また、硬いものを紙にこすりつけると光沢が生まれることを利用して、色を置かずに摺り、光の加減で雨や着物の柄が見えるなど、凝った表現方法もされていた。

今回の血みどろシリーズは《英名二十八衆句》で、浮気を疑って殺したら実はそうではなかった、殺してしまったら上司の恋人だった、嫁の浮気相手の男を殺したが身元を隠すために顔の皮をはいだ、など、設定をあげるだけで、ぞぞぞーっとするし、それが視覚的に表現されている。
例の「乾いていないぬらぬらした血のり」表現もふんだんに使われて。

なのに、どこか清々しい美しさがあるのだ。
残酷で陰惨なのに、どこか凛とした美しさ。

すごく奇妙で、強烈に惹きつけられた。




国芳の弟子の作品も展示してあったが、芳年の構図と動きのとらえ方、表情の表現の仕方など、「ああ、芳年のほうがおいしいなぁ」と思いながら見ていた。






なんと会場では、フラッシュをたかなければ写真撮影可だった。
私も気に入った数枚を撮った。
あまりばしばし撮ると、やはり音がするので他の人の集中力が途切れるからだ。




こちら、国芳の作品。
獅子の牡丹。
かわいい。
こういうのが、いい!

好き!






■参考

挑む浮世絵 国芳から芳年へ | 広島県立美術館