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避難勧告が迫ってきた / 2016年6月21日未明

2021/06/05



6月20日夜。
降り始めた雨は次第に強くなっていった。

天気予報でもそう言っていた。
やがて警報が出た。
ここまではよくあることだったので、特に気にしていなかった。


6月21日。

日付が変わったが、すんなりと寝つけなかった。
職場の落ち葉が詰まりやすいところを確認して帰るのを忘れて、それが気になったり、今年担当することになったものの「プロトタイプ」の作成に集中しすぎて適度に脱力ができず肩に力が入ったままだったり、先日参加した「野望の会」の影響かエネルギーの消耗が激しすぎてなかなかいつものように動けなかったり。

ようやくうとうとし始めた頃、登録している防災メール着信音が激しく鳴り始めた。
普段は「洪水注意報」くらいのものが「洪水警報」が発令され、広島市からのお知らせも届くようになった。

一番緊張が走ったのは、隣のエリアに避難勧告が出されたときだ。
メールが届き、そして聞き慣れない音がスマホからした。
地震速報とは違う。
「避難勧告」

そのエリアは川を挟んですぐなので、私の頭は冴え切ってしまった。

初めてだった。


自分の判断で家族を危険にさらすかもしれない。と思った。
どうやって自分たちの安全を守ろうか。と考えた。
頼る人はいない。
家族は眠っている。

そのうち、とうとう避難準備情報が私たちのエリアにも発令された。

私はとうとう身を起こした。

いつ避難しようか。
どう避難しようか。
持ち出すものはどうしようか。
家族にどう準備させようか。

合羽を着なくちゃ。
あのリュックに詰めたらいいか。
毛布や食料も持ってこい?毛布、あたしひとりで担げるかしら。
どの道を通っていこうか。
なにを履かせていこうか。普通のシューズと水に強いサンダルもいるかな。

これ、あたしの判断で大丈夫かな。


その間も防災メールは続々と届き、あの聞いたこともない「避難勧告発令」を知らせる音はもう1回鳴った。


家族を起こすかもしれない、と思いながらもTVをつけた。
NHKは海外のどこかのお散歩風景をのんびり映し、民放は通販番組を流していた。

しばらくすると大雨情報の番組をする、と表示されたので見ていた。
それはあったけれど、九州のことがメインだった。

「ちょっと!あたしは広島の今がどうなってるか、情報がほしいんよ!」

しかし、それで終わり、山歩きの穏やかな番組に切り替わってしまった。


さすがにTVをつけてしばらくすると家族が起きた。
少し話をすると、雨脚は弱まったし大丈夫じゃないの?と言い、また寝てしまった。

私も雨脚が弱まったことや雨雲レーダーの予報をチェックして、寝ることにした。
朝の4時近かった。




結局、何事もなかったけれど、私はどうしたらよかったんだろう。

そして、持ち出すものの準備をなにもしていないな、と思った。
このあたりを整えることから始めたらいいのかもしれない。



避難勧告がこんなに迫ってきて、川が決壊するかもしれない危険がそばまでやってきたのは、初めてのことだったので、ここに書いておくことにする。