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その日のスタバは、大きなテーブルががらんと空いていた。
1人、ノートブックとプリントの束、大きなペンケースを広げていたおねいさんがひとりだけ。
いつもは電源が取れるこのテーブルはPCを開いてカタカタとなにやらせわしげに入力している人がずらりと並んでいるのに。
これはラッキー!
私はそのスタバで初めて、その大きなテーブルに席を取った。
というのも、このときの私は電源がほしかった。
前日、職場にiPhoneを忘れてしまった。
気がついたのは、仕事の後、知り合いと食事をするのに集合場所の確認をしようとiPhoneを探したときだった。
引き返すには時間がなく、私はそのまま食事をし、帰宅した。
次の日が休みで、二日間くらいiPhoneなくてもいいか、とも思ったが、
休みの日でも、仕事の連絡が頻繁に入るようになっているので、休みの日に取りにいった。
その帰りに、気になっていたサクラフラペチーノを飲みにスタバに寄った。
iPhoneは毎朝、目覚ましをかけていて、けなげにもスヌーズで5分おきにずっと私に知らせてくれていた。
使っているのはiPhone5で、近頃、電池の持ちも悪く、タッチパネルの反応も悪く、音量調節もサイドのボタンが効かなくなっている。
息も絶え絶えにiPhoneは5分おきのお知らせを続け、電池残量は赤になっていた。
そのため、私は電源を確保したかったのである。
滅多にスタバに行かないので、
憧れの「スタバでノートブック時間」を持つ気満々で、
ノートブックもフラペチーノに合わせた桜のマスキングテープも万年筆も持っていっていた。
私はやっぱり桜餅の香りがするフラペチーノを飲みながら、
たまっていたTwitterを読み、
Instagramの写真を眺め、
合間に思いついたことをノートブックに書き留めていた。
そこにおにいさんがひとり、やってくる。
私の席のはす斜め前に座った。
スマホと共に大きな(多分A4サイズ)大学ノートと分厚い参考書や筆記用具が詰まっているようなポーチを鞄から取り出した。
なになに?
そのノートブックはなに?
そのポーチはなに?
なんのお勉強?
私の好奇心は一気に高まる。
多くはソファや椅子の2人が座れる席を取るので、こんなに間近に人が座ることはない。
わぁ!持ち物がよく見える。
おねいさんは人を寄せ付けない雰囲気で勉強をしている。
一方、おにいさんは勉強に乗り気じゃないのか、スマホで音楽を聞きながら、スマホの画面を見ている。
早く!
早くそのノートブックを開いてちょうだい!
その参考書も!
ポーチは…タグがある。BEAMS? そんなのあのBEAMSが出しているの?ちょっと気になる!
私は不審者にならないように必死で、自分の好奇心を抑え込む。
じーっと見ていたら、それはヘンな人だもの。
それでもチラっチラっと見てしまう。
これは、席を立ったほうが得策かも。
私は配られた試飲のコモドドラゴンという名のコーヒーを飲み干し(パッケージに描かれたドラゴンの絵が気になった)、席を立つことにした。
充電も60%以上あるし、まっすぐおうちに帰るまでは問題ない。
自転車だからそんなに使わないし。
おにいさんは勉強を始めていた。
分厚い参考書がちらりと見えたけど、よくわからない記号や数字、難しいことばが並んでいて、どんな内容なのかさえもわからなかった。
間近に人が座ると、その人をじっくり観察できるのね。
これがよく通う人だと、「また会いましたね」と出会いにつながるのかしら?
なんて春めいたことを考えていた。
サクラの仕業かもしれない。
人が使っている道具が気になる - カフェでの好奇心の抑え方
|2021/06/05その日のスタバは、大きなテーブルががらんと空いていた。
1人、ノートブックとプリントの束、大きなペンケースを広げていたおねいさんがひとりだけ。
いつもは電源が取れるこのテーブルはPCを開いてカタカタとなにやらせわしげに入力している人がずらりと並んでいるのに。
これはラッキー!
私はそのスタバで初めて、その大きなテーブルに席を取った。
というのも、このときの私は電源がほしかった。
前日、職場にiPhoneを忘れてしまった。
気がついたのは、仕事の後、知り合いと食事をするのに集合場所の確認をしようとiPhoneを探したときだった。
引き返すには時間がなく、私はそのまま食事をし、帰宅した。
次の日が休みで、二日間くらいiPhoneなくてもいいか、とも思ったが、
休みの日でも、仕事の連絡が頻繁に入るようになっているので、休みの日に取りにいった。
その帰りに、気になっていたサクラフラペチーノを飲みにスタバに寄った。
iPhoneは毎朝、目覚ましをかけていて、けなげにもスヌーズで5分おきにずっと私に知らせてくれていた。
使っているのはiPhone5で、近頃、電池の持ちも悪く、タッチパネルの反応も悪く、音量調節もサイドのボタンが効かなくなっている。
息も絶え絶えにiPhoneは5分おきのお知らせを続け、電池残量は赤になっていた。
そのため、私は電源を確保したかったのである。
滅多にスタバに行かないので、
憧れの「スタバでノートブック時間」を持つ気満々で、
ノートブックもフラペチーノに合わせた桜のマスキングテープも万年筆も持っていっていた。
私はやっぱり桜餅の香りがするフラペチーノを飲みながら、
たまっていたTwitterを読み、
Instagramの写真を眺め、
合間に思いついたことをノートブックに書き留めていた。
そこにおにいさんがひとり、やってくる。
私の席のはす斜め前に座った。
スマホと共に大きな(多分A4サイズ)大学ノートと分厚い参考書や筆記用具が詰まっているようなポーチを鞄から取り出した。
なになに?
そのノートブックはなに?
そのポーチはなに?
なんのお勉強?
私の好奇心は一気に高まる。
多くはソファや椅子の2人が座れる席を取るので、こんなに間近に人が座ることはない。
わぁ!持ち物がよく見える。
おねいさんは人を寄せ付けない雰囲気で勉強をしている。
一方、おにいさんは勉強に乗り気じゃないのか、スマホで音楽を聞きながら、スマホの画面を見ている。
早く!
早くそのノートブックを開いてちょうだい!
その参考書も!
ポーチは…タグがある。BEAMS? そんなのあのBEAMSが出しているの?ちょっと気になる!
私は不審者にならないように必死で、自分の好奇心を抑え込む。
じーっと見ていたら、それはヘンな人だもの。
それでもチラっチラっと見てしまう。
これは、席を立ったほうが得策かも。
私は配られた試飲のコモドドラゴンという名のコーヒーを飲み干し(パッケージに描かれたドラゴンの絵が気になった)、席を立つことにした。
充電も60%以上あるし、まっすぐおうちに帰るまでは問題ない。
自転車だからそんなに使わないし。
おにいさんは勉強を始めていた。
分厚い参考書がちらりと見えたけど、よくわからない記号や数字、難しいことばが並んでいて、どんな内容なのかさえもわからなかった。
間近に人が座ると、その人をじっくり観察できるのね。
これがよく通う人だと、「また会いましたね」と出会いにつながるのかしら?
なんて春めいたことを考えていた。
サクラの仕業かもしれない。
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