2015年8月6日。
広島の平和記念公園で行われた平和記念式典。
代々の広島市長が平和宣言をする。
今年の松井一實市長の宣言の中に、被爆者の悲痛な叫びとして
「広島をまどうてくれ!」
ということばがあった。
私にはわかったが、ひっかかることがあったので、Twitterで広島弁の「まどう」の意味をツイートした。
松井市長の平和宣言の中にあった「広島をまどうてください」の意味って、わかったかなぁ。 広島弁で「まどう」というのは「元に戻す、弁償する」といった意味。— Kyrie (@sala_ky) 2015, 8月 6
もうちょっとことばを足すと、
壊してしまったものを元に戻す。元通りに直す。そこから弁償する。
という意味になる。
「『まどうてくれ』ゆーて、最近聞かんのう」
というのが、私の正直な感想だった。
そして、思い出すことがあった。
今から10年以上前だったと思う。
県外から来た人から、
「原爆詩集を買ったのだが、広島弁がわからないから教えてほしい」
と言われた。
その人が開いた詩集を読んで、私はうなった。
私にもわからん…
これは衝撃的なことだった。
広島におるのに、広島のことばがわからんようになりよる!
その人は私にもわからないと知るとあっさりと本を引っ込めたが、私に焦りが生じた。
私が使う広島弁はところどころ古いものがあったり、
たまにじーちゃんの使うちょっと荒いものもある。
それでもわからんかった。
だからどうした、かというと、特に何もせず、
今も「いたしい」じゃの「めげる」じゃの言いよる。
ことばも廃れ、記憶も薄まっていく。
被爆者の平均年齢が80歳を越えた。
広島では被爆者体験を語り継ぐ伝承者の育成が行われ、
「残す準備」をしている。
私は自分ができること。自分がしたいことをしていく。
やったからといってすごいわけでもなく、
やらなかったからといってだめなわけでもない。
ただ、こうやって今、ここにいて笑っていられることはなんて幸せなことなんだろう。
と、せわしい日々の中、噛みしめる時間を忘れないでいたい。
■参考
広島市 - 平和宣言【平成27年(2015年)】
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