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泣く練習

2021/08/313




昨日、なかなか眠れず、2時を回ってしまった。


ふらふらをいろいろ思い出していたら、
急に私の中で何かがこみ上げてきて、
そして泣いた。

しっかり泣いた。


これまで私が泣くときの多くは、
悔しくて泣いていた。


あるいは言いたいことがあるのに、
うまくことばにできないとき。
まるで、4歳のごうじょっぱりのコドモみたいに。



普通に泣きたいと思っていた。

でもひとりでは泣きたくなかった。



おうちでは泣く場所がなかった。
なりふりかまわず、わんわん泣きたいのに、
そんなことをしたら、家族は必要以上に心配するし、
外ではそんなふうに泣けるところはない。

泣きたい気持ちを抱えながら、
泣けなかったし、
いざ泣こうと思ったら、
涙が出ない。


小さいときの
「あんたが泣いたら、
お母さんが悲しむから、
泣かんのんよ」
の呪縛もまだ生きていた。





でも。
そんな私がしっかり泣いたのだ。
泣いた理由は
「このままひとりのままだったらどうしよう」

「このまま誰も愛せなかったらどうしよう」
というものだった。


けれど、自分が納得いくまで泣けていることは、
とても嬉しかった。

どうしてだろう、と考えていると、
思いつくことがあった。






先月、私はその友達とSkypeで話すたびに泣いていた。

大したことではないのに、
感極まってびぃびぃ泣いた。

友達は、泣くのを止めるわけでもなく、
じっと我慢強く泣きやむのを待っていた。

これまで、我慢してきた小さなこと
ちっぽけだけど恐いのに強がっていたこと
不安でたまらないこと
寂しくてたまらないこと
居場所がないこと・・・


泣く理由はいくらでもあった。

私はいくらでも泣いた。
たまに友達も困っていたが、
「あたしは泣きたいときに泣けなかったから、
今はワガママ言って泣くんだ。
ずっと我慢するのはイヤだ。
泣きたいだけ泣いてやるんだ」
と、わけのわからないことを言い、
泣き続けた。


たっぷり泣いたので、
乾いて固くなっていた私の心はふっくらとした。



この時泣く練習をしていたのだ、と
私は思った。

汗腺が閉じていたのが、
汗をかく練習をして
汗腺が開き、
汗がかけるようになったように、
私の涙腺が閉じていたのを
泣く練習をして
涙腺が開き、
泣けるようになったのだ。


きっと。






たっぷり泣いたあと、
少し開けておいた窓から
冷たい透明の風が吹いてきた。

熱帯夜の中で、
一息つけたような気持ちになった。




そのうち眠っていた。