坂本龍一さんの訃報に驚き、そして1月に亡くなった高橋幸宏さんのことを思うと「追いかけるの早くないか?」と内心呟いていた。
音楽にうとく、No Music でも結構いける性分の私ですら、坂本さんの音楽に身を委ねるのは好きだった。
報道でテレビ局各社は手持ちのインタビュー映像やニュース映像を交え、彼の功績を称えた。
私は彼の生き様や荒ぶる部分もちょこっと「世間の噂」程度の信憑性のものだけど知っているので「それだけじゃないじゃん」とも思って、それらを見てた。
亡くなるとなんだか神格化したり賛美したりして聖人君子に仕立てあげるの、どうなんだろう。
今年の3月中旬、劇場に大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」がかかる、とポスターで知った。
見たくもあったが、大島監督作品はエネルギーを根こそぎ持っていかれるから、この年度末新年度始まりのビミョーでデリケートな時期を乗り越える自信がなくなりそうで、見にはいかなかった。
今はちょっと後悔している。
確かテレビで見たから、大きなスクリーンでCMなどで途切れることなく、また「今の私」で見たら、また違うなにかを感じられそうな気がした。
音楽にしても作品にしても、彼の活動にしても、私には語れるものはない。
なので「私の中のお気に入り坂本龍一」について書いてみる。
それは、すんごーーーく前の日本生命のCMの坂本さんだ。
20代かもしかしたら30代初めか、そんな頃の坂本さんが出張理髪師にカミソリを当ててもらったり(シェービング)、押入から布団を出しシーツを広げ湯たんぽの準備をしたり、下着のシャツ1枚で口に含んだ水を霧吹きのように噴き出しアイロンをかけたりする。
昭和の、日本家屋の、お坊ちゃんの、なんとも言えない雰囲気が好き。
そのCMで使われてきたのが「きみについて……。」だ。
1度だけ「これはレコードになっていないのだ」と坂本さんがご自身のFMラジオで流したことがある。
私は大慌てでテープに録音して、何度も聞いていた。
今ではSpotifyにも入っているので、簡単に聞くことができる。
歌詞が、なんとも言えなくて。
CMの内容とは全然違う歌詞で。
もし私が結婚して子どもができたら、お父さんになった人はこんなことを思いながら赤ちゃんに向かうのかしら。
なんて妄想もしたことがあった。
なんでか好き。とっても好き。
まだ信じられないなぁ。
他にも亡くなったのが信じられない人がたくさんいるよ。
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