南薫造展のことは知っていたが、あまり食指が動かなかった。なので最初は行く気がなかった。
しかし、この展覧会の紹介を見ていたら、まだ短い髪の毛を二つに分けて結んだかわいらしいヨーロッパの少女の後ろ姿の作品があって、「これはかわいらしいなぁ」と思った。
また南さんの水彩画の紹介もあった。
これまでは油彩画しか見たことがなかったので、これは新鮮だった。
ちょっと見に行ってもいいかな、と思い始めた。
それに、いつ美術館に行けなくなるかわからないという危機感も感じていた。
美術館に行けないことは、私にとって相当堪えた。
「見たいものだけ見る」ではなく、「行けるものにはチャンスを逃さず行っておく」のほうがいいかもしれない。と考えた。
2021年5月7日(金)。
19時前に美術館に滑り込む。
暗い美術館はなんだかちょっとこわい。
高い天井も不安感が増す。
しかし、「美術館に来た!」ということが嬉しくもあった。
お客さんは少なかった。
もしかしたら、あの時間帯は私ともう1人だけだったかもしれない。
展示物の中で楽しかったのは、南さんの日記だ。
絵が添えられている「絵日記」だ。
おそらく先に絵を描いて、残りの空間に日記を書いていったんだろうなぁ、という「書いた順番」も想像する。
Instagramでも、日記や手帳、それもイラストが添えられたものを見るのが好きなので、わくわくしていた。
それにスケッチブックも。
こんなふうにざっかざっか絵が描けるといいなぁ、とうらやましくおもった。
あとは友人知人と交わしたはがき。
自分で絵を描いて、言葉を添えている。
高村光太郎からは「昨今、引っ越し なんとか 候」というはがきが南さんあてにきていた(なんとか、は私が覚えていない)。
電話もメールもない時代の伝達手段はとても貴重に思えた。
手紙出していないなぁ。
2階の所蔵品展も堪能し、帰路についた。
帰宅、夕食後、私は大きな声を出してしまった。
Twitterを見ていたら、広島県立美術館が広島県の新型コロナ感染拡大防止集中対策のため5月10日(月)~6月1日(火)まで臨時休館する、というお知らせを出していたからだ。
なんていうタイミング。
そして悲しみ。
なんとも言えない気持ちでそのツイートを見ていた。
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Kyrie
匿名さま
教えてくださってありがとうございます。修正いたしました。
匿名
×高村光雲
○高村光太郎
よろしく。