編集

映画「シン・ゴジラ」を見終わった後のじょわじょわ感はエヴァンゲリオンと似てる

2021/10/01

※ネタバレ要素を含みます。閲覧注意。

先日、地上波2回目の放送がされた「シン・ゴジラ」を初めて見ました。

映画館で封切られ話題になったときも、初回が放送されたときも見ませんでした。
もともとパニックものが苦手なのです。
追い詰められる恐怖に耐えられない。
よって同じ理由で「ジュラシックパーク」もつらいし、逃げ場がなくなるホラーも苦手です。

それが見てみよう、という気になったのは霞が関の中の人たちとその愉快な仲間たちが作った同人誌「虚構と防災」を所有しているからかもしれません。
これは「シン・ゴジラ」を見た著者たちが「実際にこういうことが起こったとき危機管理としてどう政府が動くのか」という観点から書かれているもの、らしいです。

映画を見たからね、これも読む。
きっとくらくらすると思うけど、読んでみる。



さて、「シン・ゴジラ」は私の知っているゴジラではありませんでした。
といっても、私はおそらくまともにゴジラ作品を1本も見たことがないのですけど。
それでも私の中のゴジラは

  • 怒りによって暴れている
  • ミニラという息子がいる
  • 突然、なぜか正義の味方になりキングギドラやモスラ、ガメラと戦っている
という「ウルトラマン」の流れをくむものです。

「シン・ゴジラ」では、あの「ゴジラのテーマ」と呼ぶ音楽もちょっとしかかからず、「神のような完全生命体」であり、「怒りよりもたくましく生き延びる」感じが強い印象を持ちました。

そして実際にはゴジラよりも「ゴジラに対応する政府や世界」がメインに描かれていました。


難しい漢字ばかりが並ぶ字幕。
それなのにあっという間に消えていく字幕。
複雑な組織。
複雑な研究報告。

初見では「なにがなんだかわからないまま終わってしまった!」という衝撃だけが残り「また見に行こう」となってしまうのは仕方のないことだ、という情報量が詰め込まれ、細部まで描かれていました。

私、登場人物の名前すらぱっと把握できなかったもん。



そうして、途中で止めることもなく無事に見終わりました。
噂の蒲田くんも見たよ。
自作ぬいぐるみもTwitterでたくさん見かけた気がするよ。
作られるのわかる気がするよ、どこかかわいいんだもん、蒲田くん。


それで、「あー、やっぱり庵野監督の作品か…。見終わった後、エヴァンゲリオンと同じようにじょわじょわする」と感じたのでした。



まず、私にとっての両作品は、

  1. 突然、前触れもなく生命の危機にさらされる。
  2. その原因は不明なことが多すぎる。
  3. 聖書や神話をベースにしたなにかがある。
  4. 自分の生命も危機だけど、国も地球自体も危機的状況になっている。
  5. 原因となるものは、人類の知識などでは太刀打ちできなほどの高い能力を持っている。
  6. 残された時間は限られている。
  7. つらい決断を強いられる。
  8. ありとあらゆる手段を用いて、その危機的状況をなんとか脱する。
  9. しかし、それは一時的なもので決して安心感は持てない。

ざっくりまとめるとこのような感じとなります。


このね、最後の「安心感が持てない」。
これ、一番自分にとってつらいことです。
「シン・ゴジラ」の最後も「日本はぼろぼろになったけど、古い旧体制を壊して、新しい体制で再建していこう!」というふうに終わっていますが、暴れるのを止めたはずのゴジラはまだ……という、決して「めでたしめでたし」で終わってはいません。
未来には今回と同じか、もしかしたらもっとひどい状況になりうる可能性を示唆して終わっています。

謎は謎に包まれたまま、そこはかとなく深い不安は残されたままです。

やだよー!

「映画はフィクションだから、どんなホラーも怖くない」と言っていた人がいましたが、私は違います。
シンクロするから、リアルもつらくなっちゃって。

安心感が持てない、というのは相当つらいです。



エヴァもTV放送は見ておらず、TVで放映された劇場版のみを見ています。
なんだか大量のアリが身体中を這うようなじょわじょわした、不快感と不安感を覚えて、見終わった後結構落ち込んでしまいました。
シン・ゴジラも同じようでした。




謎めいた作品だし、詳しいマニアの人には語りたいことがたくさん出てきそうな作品でもあります。
もし、続編が出たらどうします?

私は防災よりも「ゴジラの謎」のほうが気になります。
あの尻尾はどうなるのか。
止まったゴジラは動き出すのか。
エヴァも最後まで見続けられたのは、「使徒の正体」や明かされていない謎への好奇心が止まらなかったからです。

あとは描かれていないけれど庵野監督の中にはすでに設定がありそうな聖書や神話とのかかわりが知りたいなぁ。




そんなこんなで、2018年の漢字は「災」でした。
私も生まれて初めて「避難指示」を体験しました。

災害があったとき、どう行動するのが一番いいのか。
「中の人」のお一人、後藤隆昭さんの言葉を読んで、もっと考えていきたいと思いました。



■参考

COMIC ZIN 通信販売/商品詳細 オール虚構と防災大進撃

今では続編がたくさん出ているようですね。
こちらはC91「虚構と防災」、C92「シン・虚構と防災」の合本再録版だそうです。
まずは「虚構と防災」を読まねば。


「中の人」に聞く防災 - ジセダイ総研 | ジセダイ

これは「中の人」へのインタビュー記事です。