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人に会いに行く旅



最初から秋に旅に出るつもりだった。
いろいろ考えて、11月に人に会う旅にすることにした。

そのあと、10月にもまとまった休みが取れることになった。
また旅に出ようかと思った。
それもひとり旅。



寂しがり屋のくせに、ときどき「孤独」を切望することがある。
もしそうなったら、寂しくて不安で泣きそうになるのに、それでもほしくなる。
持ち物も最小限にして、削いで削いで落として、「頼れるのは自分だけ」みたいな状態にして、「今の自分の力を試す」みたいな「孤独」が。

これをやると、ごっそり持っていかれるので旅から戻ってから日常生活ができるようになるまで時間がかかって好きじゃないんだけど、それでも欲する。
まるで刃物を研石で研ぐように。
溜まった毒を吐き出すように。

実際はスマホに頼って、人に頼って、ネット検索して、観光案内所に飛び込んで、その近くにいる人に聞いて歩いていくんだけど。


新しい旅もそういうものにしようと思ってた。


けれど、違うタイミングがやってきた。

ちょっとだけ考えて、また「人に会いに行く旅」にすることに決めた。



籠ってばかりの自分には、生で人と関わることが必要な気がする。
そして、会いたいと思ったから、素直にそれに従った。


旅としては楽なものだった。
一人で道に迷いながら歩いていくものじゃなかった。
チームとして楽しい旅だった。


旅にもあれこれあって、人によって好みがあると思う。
それを知るのも楽しいことだ。

同じ人でも、その時どきによって選択が変わっていく。
それも楽しい。


今の私が選んだのは、「人に会いに行く旅」だった。