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片づけられないカレー屋さん

2017/10/01


町をぶらつき、毎度のことのランチ漂流。
出歩くことが少なくなったので、お店情報も全然知らない。
ランチをどこで食べようか、いつも困ってる。



休みだの高いだの気分じゃないだのとふらりふらりとしていたら13:00も回ってきた。
そして、ふとカレー屋に入ることにした。

そのカレー屋は、確か大学生の頃、1度行ったきりの店だった。

大学生になり、バイトを始め、夜出歩くことも増えた。
もちろん昼間も友達とランチを食べることも、高校生の頃よりかは断然増えた。
どの店がうまいか、情報を持っている人はモテた。

まだネットもない頃で、派手な時代だった。


そんな中、いわくつきのカレー屋だった。
1度行ったことがあるはずなのに、全然記憶がない。



この数年、なんだか低空飛行を繰り返し、なんとか不時着はしなかったものの、「欠航です」の看板を出して家でごろごろしていた。
それがなにか、一時代終わったのか次第に動けるようになり、そしてやたらと大学生やひとり暮らしをしていたことのことを思い出したり、その頃聞いた音楽を聞きたくなったり、行った店に今になって行ってみたくなったりしている。

そんな流れもあったせいで、ふらりとそのカレー屋に入った。


2階に上っていくのだが、階段を上る段階で「うーん」となり、ドアを開けると「ああ…」となってしまった。

まるで、昭和の片づけられない両親がいる実家に帰ってきたような雰囲気の店だった。
よくわからないものが堆積し、それを隠すためにビニールクロスがかけられ、その上にもモノが載っている。

あ、これ、片づけ好き、スッキリ好き、ミニマリストには向かない店だ、と思った。

一人だったのでカウンターに座ってみたものの、目の前はビニールクロスでなにかを覆っている壁のようなものが立っていて、狭い。

ここんちの娘なら、
「ねぇ、お母さん、これ本当にいるの?
捨ててもいい?
ちょっとは片づけたら?」
と言いたくなる。

謎の困ったお土産やもらい物など不思議なものが棚にもぐっつり詰まっている。

きっと、「あ、それはなんとかさんからいただいたものだから。せっかくだからね」と言い、捨てられないんだろうなぁ、という「疑似家族ごっこ」を頭の中で演じてみた。



人のモノには、基本的に口出ししないことにしている。
勝手にも捨てない。
共同スペースに関しては、うちは私のものを置かせてもらえない(ちょっと置いていたら、私の部屋に運び込まれる)。
そうやって、「自分のモノ」のテリトリーを守っているのかもしれない。


居心地は悪かったが、なんとなく憎めないお店だった。

モノの整理のしていこう。
随分、澱が溜まってきた。