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宮廷画家ルドゥーテの「美花選」展  ひろしま美術館

2021/06/05



ルドゥーテは以前、薔薇の花の絵ばかりを集めた特別展を見たことがある。
そのときの優雅で、柔らかで、綺麗な中にそっと虫食いの葉っぱなどを描き込んでいるのが好きで、印象に残っていた。

今回は薔薇だけでなく、たくさんの花の絵を集めた特別展だったので、新春にふさわしいと思い、前売券を求めていた。




ルドゥーテの生涯をまとめた子ども向けの絵本が紹介してあり、それでざっと彼のことがつかめたのもよかった。

ベルギー生まれのルドゥーテは画家の父の影響もあって、本人も画家になった。
美しい花の絵はマリーアントワネットやナポレオン一世の妻ジョセフィーヌにも愛された。

絵は面ではなく、細かい線で多色刷りを可能にした銅版画で、紙は植物の繊維ではなく動物の皮だった。

沢山のお花を見ていると、その絵に注がれたエネルギーはどれくらいのものなんだろう、と想像するけれど、できない。



私が撮る写真の多くは、食べ物とお花。
お花を見ると穏やかな気持ちになれたり、ちょっぴり心が潤うこともある。

華やかな女性たちにも愛されたこの絵は、動乱と不穏な空気の時代の中、どれくらいの人たちの心を慰めたのだろう、とも想像する。
娯楽もなく、戦いも絶えないあの時代、そんなことも知らずに見ていたのか、不安な気持ちの中、眺めていたのか。








私は溜息をつきながら、のんびりと絵を楽しんだあと、甘いものも楽しんだ。

本当は美術館のあとにはグラスワインで余韻に浸りたいんだけど、なかなかカフェにワインがなくて困る。

ここでモレスキンを開き、チケットを貼ったり、絵を見た感想を書いたりもした。



かすかすだった私もちょっぴり潤った気がする。