編集

浮世絵師 歌川国芳展 #広島県美 / 痛快活劇の中に迷い込む

2022/02/06






浮世絵を見るのは好きです。
大体は構図の素晴らしさを見てうっとりするのが好き。
そして、着物の柄やうなじの色っぽさなど女性像をうっとり見たり、
大胆な表情だったり、町の人々の様子を見るのが好きです。

歌川国芳の名前もよく聞くし、
作品も何点かは見たことがありますが、
こんなにまとめて見るのは初めてでした。




いやー、面白い!
わくわくして、痛快活劇の中に入ったような、江戸庶民になったような、
とても興奮する特別展でした。



まず、男性たち。
水滸伝や有名な武将、町の男、アウトローなどがまことにカッコよく描かれています。

あふれる躍動感、
歌舞伎の見えを切ったときを写し取ったかのようなストップモーション、
みなぎる男気。

国芳の絵を背中に刺青として入れる人も少なくなかった、というのはうなづけます。
カッコいいもん!


妖怪や鬼退治をしている武将の姿の図は、
まず、構図が素晴らしいです。

動いていないのに、雷がとどろき、気味の悪い雄たけびをあげ、暴れ回る妖怪を武将がぐっと抑えつけている一連の動きが見えます。

妖怪の描かれ方も、怖いのにどこかユーモラスで、武将そっちのけで見入ってしまいます。



その流れだったり、自身が猫好きだったりしたせいか、
動物を描いたものもとてもユニークで遊び心満載です。

金魚がヒレで歩いているように描かれているのも好きですが、
私は特に猫が夕涼みに誘う様子が描かれた団扇絵が大好きでした。

船の上で夕涼みをしようと、どうやら若旦那のような猫が船に先に乗り、
素敵な美猫を誘うのに手を差し伸べています。

そのもふっとした差し伸べた手が!
その美猫が誘いに乗る伸ばされたもふっとした手が!
きっともふもふ猫好きにはたまらない手だと思います!

そして、なんとこの柄は広島県立美術館のHPからダウンロードできます。
ぬりえになっていて、これを仕上げて持って行くと当日料金から200円引きに!

浮世絵師 歌川国芳展|広島県立美術館 Hiroshima Prefectural Art Museum

美術館に行く前から楽しむことができます。









国芳の絵には、秘密が隠されていることがあります。
ぱっと見はわからないのですが、よくよく見れば「判じ絵」で風刺画となっているものです。
まるで歌舞伎みたいです。
歌舞伎も現代のことを、そのまま描くと問題になるので、
時代設定を変え、名前も変え、上演し、
見た人は「あー、これはあのことかー」とわかるようになっています。

それと同じようなことが、判じ絵にも巧妙に隠されています。


他にも、染物屋に生まれた国芳のセンスが光る着物の柄の秘密や、
その当時の「常識」で、作品を鑑賞するためには必要な知識を私は持ち合わせていません。

せめて、国芳が生きた頃の将軍の名前と大きな出来事だけでも押さえていけばよかった。
とちょっぴり思いました。


今回の展覧会では、こういった「鑑賞ポイント」をまんがちっくに、
あるいはLINEのトークのようなふきだしを用いてわかりやすく表示しています。
こんなふきだしを使ったブログもよく見かけます。

あんまりやるといけないと思いますが、
「高尚な作品」というより、
庶民の「スカッとする痛快な娯楽」としての作品も多く、
「もっと集中線を入れてもいいかも!」
「ダイナミックな擬音語を入れるのはどうかしら?」
と、合いそうなまんがの効果をぼんやり考えながら見ていました。




この他にも北斎に影響されたものや、
国芳が好みの女性像などがありました。

着物や帯の粋な感じや、
合わせ鏡でお化粧や髪型の仕上がり具合を念入りにチェックするしぐさにくらくらします。


さいごの辺りに、国芳が描く「国芳像」があり、これがまた粋でカッコいいのです。
着ているものにも注目です。
これ、私も着たい。
これを着て、こたつに入っていたい!




作品はこれでもか!これでもか!というほどあり、
どの作品もじっくり見れば見るほど発見があるので面白く、
見終わったときにはへとへとになっていました。


しかし、今回の展示は前後期あります。
一番上の写真で、今回ポスターにもなっている巨大な相撲取りのような男の作品や、
大きな髑髏と骨の妖しげな作品は前期にはありませんでした。

これは2回見にいくのがいいかも!

HPによると、リピート割引というものがあり、
一度行った国芳展の半券を持って行くと、前売料金で見られるようです。
「もう1枚、前売りを買わなくちゃ…。どうしようかな…」
と迷っている人も、
ハマって2回3回と見たくなった人も、これを使うといいと思います。






■奇想天外!国芳ふせんプレゼント








どうですか、このふせん?
一番左の金魚がめちゃくちゃ好きですが、
他のお猫さんもくすっと笑ってしまうかわいらしさがあります。

作品の一部なのに、動きだしそうです。
すごいなぁ、国芳さん。


このふせんは、広島県立美術館が作ったオリジナルの限定ふせんです。

会期中の金曜日 17:00~ 先着20名様
期間中の土日祝 9:00~ 先着30名様

に、それぞれプレゼントだそうです。

金曜日は20:00まで開館しています。

人も少なくて、なかなか趣深い美術館となります。











私がどうしてこのふせんを持っているかというと、
美術館が募集したウェブ・レポーターとして参加したからです。


知らなかったのですが、レポーターには全員プレゼントだったようです。


実は、私は今回、ウェブ・レポーターとして参加するつもりはなく、
きちんと前売券を買っていました。

しかし、偶然、ウェブ・レポーターの日にお休みを取っていたのと、
初日にも関わらず、美術館のTwitterでリツイートされるツイートを読むと、
「前後期、両方いかなくちゃ!!」
というものが多く、
「ならば私も!!」
と参加しました。



もう4度目くらいになると思いますが、
参加すればするほど、緊張感が高まります。

「ウェブ・レポーターに参加すればタダで見られるから」
という気持ちがないわけではなかったのですが、
だんだん
「タダじゃない。
この特別展1回分に相当するレポートが書けるかしら…?」
と、責任を感じます。


大概、レポーターとして参加しなくても、美術館で鑑賞した展覧会のことはブログに書きます。

でも、そのときとは書くときの心構えが違いますね。



書き手に先入観を持たせる、というリスクがあるかもしれませんが、
一度、担当の方と「ウェブ・レポーターに参加して」というお話する機会があったらいいなぁ、と思います。

募集する側として、どんなものが困るレポートなのか、とか、
参加する側として、こうやってくれたらもっと嬉しいんだけど、とか、
そういうお話ができたらいいなぁ。


今回は困ったことはなく、
ブログやTwitterなどの見栄えがする写真撮影ポイントを事前に教えてもらいました。



前回の反省で、レポーターとしてメモを取るときには鉛筆を持っていくこと!がありました。
今回、忘れずに持っていきました。
シャープペンシルも考えましたが、遠くから見ても「これぞ鉛筆!」というほうがいいなぁ、と思って
「正しい鉛筆」にしました。