落ち着くために、ちょっと書かせてね。
タルにメールの返事を書かなくちゃ!
とずっと思っていて、
ようやく送信したのは昨日。
英語からすっかり離れてしまい、
もともとそんなに得意じゃないので、
英作文をするのが億劫で、昨日になってしまったの。
随分ご無沙汰しちゃったわ。
今朝、メールボックスを開いたら、
彼から返信がきていた。
いつもはこんなに早くに返事がないので、
ちょっと驚いた。
おまけに、
「キリエにメールをしようとしたら、
君からメールが来ていたよ。
不思議だな・・」
なんて、書いてある。
「不思議」と訳してみたけれど、
原文では、"strange"という単語が使われていた。
「奇妙」ってことなんだろう。
そして、メールの内容は、
彼が留守中にお母さんが誰にも知られずに亡くなっていた、ということだった。
それも、ちょっと衝撃的だったので、
自分も動揺している。
私がスイスに滞在しているとき、
彼が母親のように慕っていた叔母が亡くなった。
彼女の遺体が教会にしばらく安置されていて、
彼女に会いにいったとき、
こわいから、先に彼女の顔を見てほしい、
とタルは頼んだ。
私もこわかったけれど、
なんとか心を決めて顔を見た。
どんな様子か。
苦しそうでないか。
それを私に聞き、
「ちょっとスマイルがあるよ」
という言葉に安心してようやく、
彼女の顔を見ることができた硝子のハートを持つ彼だ。
自分の母親が亡くなっているのを見つけたときは
どんな気持ちだったのだろう・・・
想像してもしつくせず、
私は遠くから
タルをハグするだけだった。
彼の母親には何度か会ったことがある。
タルが電話をすると
「あなたの小さなねずみちゃんは元気?」
と私のことを気にかけてくれていた。
彼女の記念すべき誕生日パーティーにも出席させてもらった。
いくつものことを思い出す。
ろうそくを灯そう。
タルがいつもしていたように。
祈りのとき。
しっとりとしゃべるとき。
リラックスするとき。
彼が家にいる時には、必ず彼のそばではろうそくが灯されていた。
彼のお母さんのために、なにかしたいな。
なにができるかしら。
聞いてくれてありがとうね。
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