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プレゼント

2021/08/242



ヴォノにぴったりのものを見つけた。

Made in USAで、
中古やデッドストックのバンダナを使った「ひとつだけ」のマフラー。

Made in USAとバンダナはヴォノが大好きなもののひとつ。



クリスマスのプレゼントにどうかな。
と思い、それとなく彼に探りを入れる。



ヴォノの肌はデリケートで大丈夫な素材とそうでないものがあるからだ。




すると、彼は
「マフラーなら編んでくれるの?」
と言ってきた。


春の彼のお誕生日にコットンニットの帽子を編んでほしい。
と以前にも言われたことがある。


そのとき、私はムッとして激しく拒否した。



なんとなく、
「女の子なら手芸と料理はできるもの」
というのを押しつけられたような気がしたから。

苦手だからしたくない、と言うと、
「好きな人のためにがんばってみようという気はないの?」
と言われたので、
それもカチンときて、
ますます激しさを増して拒否した。




そんなもの、本人の内側から出てくるものであって、
他の人から言われたくないもの。





それからしばらくして。

私は通勤途中にいろいろ考えた。



編み物は、マフラーなら編める。
単純な編み方なら大丈夫。

セーターや手袋は、編んだことがないし、
編み目を増やしたり減らしたりするのは、苦手。

ゲージを取る、なんてしたことない。

その点、マフラーなら少々のことは許される。



前に自分のマフラーを編んだことがある。

寝る間も惜しんでせっせと編んで、
自分では満足していたのに、
そのときに好きだった人から、
「かわいくない」と言われて、
そのままそのマフラーと編み物をする自分がいやになってしまったこともついでに思いだしてしまった。




きっと、バンダナのマフラーをプレゼントしても、
ヴォノは喜んでくれるだろう。

でも、プレゼントする意味は?

彼を喜ぶ顔が見たいのは私。

彼がよりほしいのは手編みのマフラー。



何が大切?

彼がほしいのは?

私がしたいのは?





そして、私は編み物をすることにした。