カプセルホテルの無音

 2022/11/16

カプセルホテルに泊まった。

一応、155cmの私が立っても頭は天井につかないので圧迫感はない。

すべてベッドの上ですませることができる、こたつや布団で過ごす生態の私にはぴったりの場所なので気に入っている。

入り口はロールカーテンだけで鍵をかける仕組みにはなっていない。

貴重品は各部屋にセーフティーボックスがあり、チェックアウトをするまではその鍵は自分で管理する。

ただしお出かけするときに中を空っぽにしておけば、鍵も預けることができた。

こんな場所なので、音が響く。

お友達と一緒に利用している場合は会話は筒抜け。

ラウンジみたいなところがあるので、会話などはそこでするようになっている。

ロールカーテンの開け閉め、トイレや入浴に行くための移動、ごそごそとスーパーの袋の音、などさまざまな音が漏れ聞こえる。

なので、アメニティの中に耳栓がある。

部屋にはテレビもある。

もちろん音は出ないので、イヤホンで視聴する。

このイヤホンは簡易なもので、私はどうやら耳の穴が小さいようで長時間はめていると耳が痛くなる。

自分のイヤホンはiPhone用で先がぶっさせない。

それにめちゃくちゃ考えて荷造りをしなくちゃならなかったり、翌日のことを調べたり考えたりするときには音が邪魔だ。

遠くで聞こえるぶんにはいいけれど。

なので、しんとした中、作業する。

こんなにも音がしない中、ひとり、狭い空間で過ごすのは久しぶりだ。

ひとり旅で会話もなかったので、音やおしゃべりに久しぶりに飢えた気がする。

気を抜けば、私はこんなにも寂しくなってしまうのだ。

と、日曜日の夜、前日の土曜日と比べて宿泊客が少なくなったカプセルホテルの部屋で音がしない無音のテレビをつけ、荷造りしながらぽそりと思った。