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馴染む褪せた香り


自分にぴったりの香りが持ちたい、と思っていた時期があった。

イタリアやヨーロッパで過ごしたり、スタイリストとして活躍したりした女性のエッセイを貪り読んでいた頃だった。

私も探してはみたものの、「香水」も軽い「トワレ」も好みの香りが見つからなかった。
どうも「人工臭」を強く感じてしまい、身につけたい香りではなかった。
どうしても香りをまといたいときには、ラベンダーのエッセンシャルオイルをハンカチやジーンズの裾につけていた。
(使ってみよう、という方はエッセンシャルオイルの扱いを調べたり、聞いたりしてください。オイルによっても違うし、人によっても違うから。きちんと使わないと危険です)



数年前、友達から香りをもらった。
「ボディ用フレグランススプレー」とあり、オリエンタルムスクと書いてある。
私にとっては甘すぎて、そしてやはり人工臭がして、ちょっとつけただけでそのままにしていた。

たまに「香りがほしいな」と思い、使ってはみるも「やっぱり違う」とやめる、というのを繰り返していた。



今年になり、ちょっと使ってみた。
おやおや?
これまでとちょっと違う。
少し、自分になじむ気がする。

なぜだろう、と理由を考えていると思いいたった!

香りが褪せていた。

薄くなり、ぐっとむわっとくる甘ったるさが抜けていた。
強くも香らないし、仕事に行く前につけても、自転車を漕いで職場についたらあまり感じなくなるレベル。
たまぁに忘れたころにふわっとくる。


あー、これなら身につけられるなぁ、と思い、使う頻度が増えた。
(直接肌につけずに、ジーンズの裾やジーンズの膝の裏などを想定し、その高さにしゅっしゅっと吹いて「まるでミストの中に足をつっこんでいる感じ」でつけています)



なんでもかんでもフレッシュでぴちぴちなのがいいとは限らないわね!


どっとはらい