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かこさとしの世界展 / ひろしま美術館

2021/06/05

去年(2018年)の5月に亡くなった絵本作家のかこさとしさんの原画展に行きました。



絵本「地球 -その中をさぐろう-」 / お星さまになったかこさとしさんに寄せて

以前も書いたのですが、私の幼少期には「ぐりとぐら」の他にもかこさんの絵本をたくさん読みました。
育ててもらった本の中に入ります。

しかし、かこさんのことはあまり知りませんでした。




1926年に生まれ、小学生の頃疎開。
戦闘機に乗ろうと大学に入りますが、視力が悪いためパイロットにはなれませんでした。
そして終戦。
そのときに「戦闘機に乗る」というのがどういう意味なのかを二十歳前のかこさんは考えていったようです。


小学生の6年間を振り返る挿絵と作文は、とても面白いです。
6年生とは思えない文章力と絵で、とても素敵な冊子です。
全部読みたい。

そして、かこさんは大学卒業後、22歳で昭和電工に入社。
「絵本作家を本業としているわけではない」というのをどこかで聞いた気もしますが、47歳で退職するまで子どものための活動をしながら絵本を作っていました。
驚きです。




かこさんの絵本って、ホンモノっぽくて好きでした。
なんていうんでしょう、「科学的な」?
ファンタジーの部分もありますが、子どもだましでも子どもに媚びているものでもなく、難しいことだけどごまかさず、ありとあらゆるかこさんの知識と文章と絵を見せる工夫と「伝えるための発想」が詰まった本だと思っています。

なので、彼の絵本により私はかなり早い段階で「地球の中は土がいっぱい詰まっているのではない」というのを知っていました。
(私の大好きな「地球」の原画ももちろんありました!感動じゃ!)
虫歯は黒くてとげとげしたオバケみたいなのが掘っていないというのも。

とても説得力があります。



子どもだって、説得力があるものにひかれます。
納得しないと動かない子どもだっています。
私もそうです。





それなのにそういう科学的なものを残しながら、すっごいファンタジーをぶち込んできます。
「だるまちゃんとてんぐちゃん」ですよ!
ひげが生えているのに、だるまちゃんもてんぐちゃんも子どもなんです!
びっくりじゃ!



しばらくかこさんの作品から離れていましたが、2018年にも、つまり亡くなる年にも絵本を出していらっしゃいました。
東日本大震災などの災害の被災者への気持ちを込めて作られただるまちゃんシリーズでした。

90歳を過ぎて描かれた絵は、やはり若いころのような勢いのある線ではありません。
けれどもとても熱いものが込められているような気がしながら、絵本の試作や原画を見ていました。






見終わったあとは、美術館のカフェでコラボメニューの「だるまちゃんのずんだもちパフェ」を食べました。




食べながら、ノートにまとめました。
興奮しているので、何か所か間違ったことを書いています。
あとで直しました。


途中、だるまちゃんと一緒に写真が撮れるコーナーがありました。
でかいです!
私はひとりで行ったので、スマホのセルフィーで撮りました。



年を経ても色褪せないもの。
子どもから大人まで好まれるもの。
そういう「変わらないもの」はなんだろう。
なんて、ちょっぴりテツガクをしながらこの日は終わりました。



■参考




かこさとしの世界展 - 特別展 - [ひろしま美術館]


かこさとし 公式webサイト


日曜美術館 - NHK
2019年7月7日の回はかこさとしさん特集!