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「ピース・ミーツ・アート!」展  広島県立美術館

2022/01/06





今夏、広島では、広島県立美術館、ひろしま美術館、広島市現代美術館の3館が
「アート・アーチ・ひろしま2013」と称して
「平和」をテーマにした企画展を同時に開催しています。



 そのうちのひとつ、「ピース・ミーツ・アート!」展を訪れました。

といっても、「ゴッホ展」「尊厳の芸術展」に続く3つ目なので、いろいろふらふらしていました。



ネタバレ要素あり。ご注意ください。





ピカソの「ゲルニカ」も、
岡本太郎の「明日の神話」も(ここでも会えるとは思いもしませんでした)、
丸木位里・俊も、
三宅一生も、
イサム・ノグチも、
いつも県美で会うダリも、
被爆者の衣服の写真も
(原爆資料館に保管されているものを撮影したもの。
これがかわいらしい花柄のワンピースで、
いつの時代でもおしゃれはあるし、
それがない心の状態って悲しいことだと思うし、
きっと少女のものだろうけれど、
普通の少女が突然の原爆にやられたんだと思うと背筋がぞわぞわして、
余計に悲しくなった)、
被爆してぐんにゃりまがったガラス瓶に寄り添う人形も、
ほんとにいろいろいろいろあって、
投げかけてくるものはいっぱいでたまらないのだけれど。



私は塩を撮り上げようと思います。




「大量に塩を使った作品がある」
というのは県美が流すツイートの中で知っていました。

でも現代美術ってわかりにくかったり、
作品だけではなく作者の思いや意図を言葉で補充しないと、いや、補充しても伝わってこないものが多い感じがします。
私には、ね。


なので、大量の塩もそんな類の作品かもしれない。と思っていました。






会場の大きな平面を使っていました。

紺色の面にかくかくした迷路が塩で描かれていました。
それは地図のようにも見えました。
なんとなく 川のようなものも見え、
違うのに「広島市みたいだ」と思いました。

迷路はだんだんと広島市でいう北に進むと塩の山となり、
そのふもとはうっすらと塩がかかっていて、霧か靄がかかっているようでした。

そのグラデーションも素晴らしかったし、
「塩」という無機質の生命感のないうっすらと不気味なのに、
その緻密な迷路が描かれているために、
妙に息吹があるのです。


私もなんであんなに興奮したのか、わかりません。

それでもずっと「塩が…!塩が…!!」と心の中で叫んでいました。

私にはとてもインパクトのある作品でした。



今でも理由はわかりません。


もしかしたら、何年も経って「あ」と思いつくことがあるかもしれません。





ずっと作品のことを迷路と呼んでいましたが、タイトルは「迷宮」です。









私は、3つも展覧会を回ることができない、と思っていました。
普段、一つの展覧会を見るだけでも相当疲れるからです。

でも、この日は作品を見れば見るほど、自分の内側からなにかが湧き上がってくるような感覚で、
とても気持ちよく見て回ることができました。




駆け足になったところがない、とは言い切れません。

やっぱり3つは多いなぁ(笑)








■Peace Meets Art!   @Hiroshima Prefectural Art Museum