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美術館のお作法

2021/06/05



親が好きなので、小さな頃から美術館によく連れていかれた。
よくわかっていなかったが、神妙な顔をしていた。
自分が美術館に行くのが好きなんだ、となんとなく自覚したのは小学5~6年生の頃で、「ダリ展」に行ったときのことだと思う。
これから帰って母に「しんどい」と訴えると、発熱していた。
つめたく冷えた黄色いスイカを食べた覚えがある。


親は彼らなりに「美術館のお作法」を私に教えた。

見ている人の前を横切ってはいけない、だとか、
私語は慎む、だとか、そういう基本的なこと。

ちょっと他人の目を気にする10代においては「できる私」「大人の私」を見せたくて、美術館に行くとこのお作法を守った。
そして、他のお客さんも同じようにこのお作法を守っていた。



それが、最近、随分お作法が気になるようになった。

気になる絵を私がちょっと時間をかけて眺めていると、その前を堂々と横切る男性。
絵の感想や自分たちの話を声高に話す女性4人組。

そんな人たちがいやで先に行ったり、時間をずらして遅く行ったりしたけれど、結局同じペースになってしまい、ちっとも楽しめなかった。

このとき、ふっと「美術館のお作法を習わなかったのかな」と思った。

自分の作品の鑑賞方法も独特なので、気をつけよう。



よりいい場所で見て、作品の感想を共感したい。
それは自然なことだと思うけど、たくさんの人がいるときにはどうなんだろう。


がっくりきちゃった。

このとき思ったのは、「もっと人が少なそうな時間帯を狙って来る」だった。
それもテの一つね。