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浮世絵忠臣蔵と新春を彩る日本画  ひろしま美術館

2021/06/05


昨年末から浮世絵をたくさん見ている。
歌川国芳春画展
そしてこの国芳の仮名手本忠臣蔵と竹内栖鳳の日本画が中心の展覧会だった。


忠臣蔵は史実をそのまま取り扱うとお上からおとがめを受けてしまうので
(忠義を果たす美談だけど、幕府からすると反乱を起こした集団なので取り締まり対象)、
時代を室町時代に設定し直し、登場人物も実際の四十七士をもじったような名前にし、
「赤穂浪士?いや、全然関係ありませんよ」というふうにして歌舞伎で上演された「仮名手本忠臣蔵」を浮世絵で国芳が描いたものが展示されていた。

国芳と言えば、その構図と粋な漢らしさが素晴らしい浮世絵師。
一人一人の立ち姿も凛々しく、おそらくもっと細かく見ていくと、「わかる人にはわかるメッセージ」が入っているのかもしれない。
着物の家紋や模様に隠しメッセージを入れるのも国芳はよくやっている。


竹内栖鳳の日本画は美人図だけでなく、カラスの掛け軸がとても印象的。
あの黒々したカラスがなんだかユーモラスで。

横山大観と下村観山の「松鶴」は金の地に、
左の一艘は大観の鶴、右の一艘は観山の松という大きな屏風の作品で、
大胆でお正月にふさわしいおめでたい題材の作品だった。



作品は素晴らしいけれど、展示の仕方はどうなのだろう。
解説の書き方も、日本画や浮世絵の理解を深めるための参考の展示物も、「読ませよう」という感じが少ないし、
「ただ並べてあるだけ」という感じがしてならなかった。

たくさん美術館を回っているわけではないけれど、力の入っているところの展示はとても工夫してある。
扱うものが「現代の日本」から離れている場合、いかにその時代を理解した上で作品を鑑賞してもらうか、に大きな工夫がこらしてある
説明の仕方、文言にも配慮されている。

この美術館の展示がそんなにひどいとは思わない。
多分、これまではこれでよかったのだ。
ただ、これまでと同じやり方をしていたらよくないだろうなぁ、とも思う。

あと、どの美術館博物館でもそうだけど、音声ガイドをなんとかしてほしい。

始まりのところにちょっとしたメインの作品が置かれていることが多い。
「つかみ」とところだし。
しかし、そこで音声ガイド利用者が作品を見るにしては長時間立ち止まるため、そこで渋滞が起こる。
なかなか先に進まない。
そこだけ団子になる。
あれって、どうにかならないのかなぁ。
見る人が少なくてすかすかのときはいいけどさ。



参考のものとして面白かったのは岩絵の具。
文字で「色のついた石を削って絵の具にする」というのは読んでいたけれど、
実際にその美しい石とそれを粉にしたもの、それもグラデーションありのものを目にすると、
「これが岩絵の具か~!」と改めて認識できた。
すごいのね、岩絵の具!