糸井重里さんのTwitterで、
この本の感想やレビューのツイートのRTが大量に流れてくるようになった。
それをうるさがる人もいたが、
糸井さんは「しばらくはこのままで行く」と宣言され、
今もなお、リツイートが流れてくる。
私は「みんながいいと言っている!流行っている!」というものに対しては、
すぐに飛びつくか、不必要に警戒するかどちらかで、
「知ろうとすること。」 は後者だった。
糸井さんはご自分の著書やほぼ日で創り出すもの、糸井さんがいいなと思うものを
「これはいいんだよ」
とツイートしたり薦めたりはされるけれど、
それは「関心を持った人の背中を軽くポンと押すくらい」だ。
しかし、この本に関しては並々ならぬ熱量で、グッとみぞおちに押しつけるような気迫が感じられて、
なんだか根負けしたというか、
「わかった。参った。参りました!」
という気分になり、本屋で買ってきた。
が、なぜかしばらく放置しておいた。
自分のブログを放置したり、
これまで必死になってやっていたものに手を出すのを控えてみたり、
受身な感じで過ごしていたら、
なんだか暇になっちゃって、
ようやく「知ろうとすること。」を手に取った。
内容は、東日本大震災での福島第一原発の事故後の放射線のことについて、
専門家だと思っていたら実は専門外だった物理学者・早野龍五さんと
科学とか理系とか難しいことがらや専門用語はよくわからないんだけど、
私の気持ちや感じていることを「そうそう!」と代弁してくれるのが得意そうな糸井重里さんの対談、である。
放射線は目に見えない。
だから、見えないぶん、不必要に不安になるし、
反論しようがないので、はっきりしない情報に踊らされることも多い。
2012年に福島に行ったけれど、
放射線のことはまったく気にならないと言えば嘘だった。
もし、私が乳幼児を育てていたら、
もっともっと全身を緊張で張り詰めて警戒していると思う。
本の小見出しで
「私はちゃんと子どもを産めるんですか?」
というものがあったのも、
買ったものの本を読むのを億劫がらせた理由のひとつだ。
どうやら、私は今回の人生では子どもを産まなさそうだけど、
20代前半で虫垂炎をこじらせて腹膜炎の一歩手前で手術を受けるとき、
「ほとんど間違いなく虫垂炎ですが、
たまに開腹したら卵巣の病気であることがわかることがあります。
もしそうなったら、そちらの手術に切り替えます。
いいですか?」
と言われて、同意書を書いた。
「もしかしたら、私は子どもを産めなくなるんじゃないか」
という恐怖は、
すごくすごく怖くて、どうしようもなく不安で、
強烈にたまらないものだった。
だから、この質問をさせてしまうのはなんてむごいことなんだろう、と重くのしかかってきた。
読んだ感想は、
「ほっとした。とにかくほっとした」
だった。
放射線のことは、
「もう大丈夫だ」という意見も
「まだまだ危険だ」という意見もある。
私はなにを根拠にそれが大丈夫であり、危険であるのか、判断ができなくなっていた。
そして、よくわからなかったら、防衛本能なのか、
「危険だ」という意見に寄り添ってみたくなる。
本の中で、実際の早野さんと糸井さんのツイートを交えながら、
どういうことを考えて、
データを取ったり、
その結果がどういうことかがすごくわかりやすくて、
糸井さんのことばがまた絶妙で、
「ここはこういうことだから大丈夫。
でも、ここがまだ危ないから警戒しておいたほうがいいよ」
というのが、素直に納得できた。
本当にすごく安心した。
そして、これを糸井さんが強く薦めるのが、ちょっぴりわかった気がした。
「見えない!」
「わからない!」
と不安がっているだけじゃなくて、
「こうなんだよ」
と、しっかりした根拠を見せてもらったほうがすっごく安心するし、
これからどうしたらいいのか前向きに考えていけるもん。
パニックにもならないしさ。
文庫にしたのも意味があって、
携帯しやすい。
安価である。
となると、
人に薦めやすい。
人にあげやすい。
端末がない人では読めない電子書籍じゃないから、より多くの人の元に届く。
と、
とにかく「たくさんの人に読んでもらう」ことが念頭に置かれている。
たくさんの人が読んでも理解しやすい内容だし。
最近流れてきたリツイートでは、
これの英語版がほしい、
というものもある。
ほんとにそうね。
読んでほしい人って日本人だけじゃないもん。
私はこの本を持っているけど、
「持ち続けている」ことにこだわらずに、
もしそんな機会があったら、
「読んでみて」
と必要としている人に差し上げようと思ってる。
そして、また買い直すの。
■本日の福島旅行
1カ月近くかかって更新した福島旅行記の始まり。
天空の露天風呂で - Kyri*ate
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