私が反乱をおこしてから(?)、ぎくしゃくしていた。
ヴォノが、こうなる前から広島に来ようとしていて、
改めてデートをしようと誘われた。
ヴォノは時間をやりくりして、来てくれたのだと思う。
金曜の夜、会った。
雨の降る寒い夜。
彼は突然、
「それで、言いたいことってなに?」
と問いかけた。
私はそれはもう終わったことだと思っていたので、
少々うんざりした。
閉店してシャッターの下りた店の前で話が始まった。
この関係が崩れてもかまわない、と思った。
頑張る元気がなかった。
私の好きだったヴォノもいなかった。
会いたいときにさっと会えて。
できるなら結婚もして。
恵まれたら子どもを持って。
たわいのないおしゃべりが楽しめて。
おいしい料理を食べて。
我慢していたことが自分の中で逆巻く。
それに、泣きながら打ったメールの意味は届いていなかったのだと、わかった。
以前、私は心配しすぎるヴォノに
「もしメールが滞っても、
殻に閉じこもっているだけかもしれないので、
心配せずにそっとしておいてほしい」
と言ったことがある。
そして、今回、私がメールをしなかったのを
これだと思ったのだと、
彼は言った。
本当に。
もう本当にうんざりした。
私の言いたいこと、ぜんぜん伝わっていないじゃん!!!
うんざりしながらも、
「もう頑張れない。
待つのにくたびれちゃった!
待つの嫌だ!
どんどんエネルギーがなくなって、
補充できなくて、
それでも元気でいようと思って頑張ったけど、
どうにもならないで。
あなたが大変なのは知ってるけど、
でもあえて言う。
もう待つのは嫌だ。
頑張れない」
とヴォノに話した。
ヴォノは、
「わかった。
悪かった。
気をつけます」
と言い続けた。
ねぇ、違う。違うのよ。
私があなたに伝えたいのは
「どんなに寂しかったか」
「どんなに不安だったか」
「どんなに悲しかったか」
なのよ。
「どんなに」
のところなのよ。
彼は
「寂しかった」
「悲しかった」
のところを
「わかった」
と言う。
違うの。
「どんなに」、のところなの!!!
ここは何度言っても伝わらなかった。
それに寒い。
喉の調子がおかしくて、
風邪薬を飲み続けていた私に限界がきていた。
寒い寒い寒い!!
ねぇ。
言ってもどうしようもないことは、
私もわかってるの。
そこをあえて言う、という意味をわかってほしいの。
「そんなに寂しかったんだ」
とぎゅうっとしてくれたら、
それだけで、エネルギーに変わるんだよ。
なんで、これがわかってもらえないのかな?
結婚と子ども。
自分ではどうしようもない。
それをキリエが強く望むなら、
なるべく早くそうできる相手を見つけたほうがいい。
自分はキリエのことが好きだから、
キリエが幸せになることを願っている。
だから、そうしたいならそうしたほうがいい。
私の中で、何かが切れた。
捨て台詞を言い、
私はその場を離れた。
寒いのも限界だった。
リングを降りたのだ、と思った。
彼がリングを降りたのなら、
私は追いかけない。
私は家に向かってふらふら歩いた。
友達にメールした。
友達はこの展開にびっくりしてた。
ヴォノから2回電話がかかった。
今夜は適当なところに泊ることと
明日帰るということ。
私は「そう」と言うだけだった。
彼は追ってはこなかった。
部屋に戻ると上着を着たまま、こたつに入った。
とにかく寒かった。
寒くてしかたなかった。
帰り道、泣きながら帰ったので、
顔がぐちゃぐちゃで気持ち悪かった。
随分してから、お風呂に入った。
一人でいたくなかった。
Skypeに友達がオンラインでいたので、
お願いして通話した。
誰かの声を聞いているだけで、安心できた。
あまりにも「よしよし」と私がただ、わーわー言っているのを聞いてくれたので、
どんどん、
これまで溜めていたものが出てきて、
「ひとりでいたくない。
ひとりはいやだ」
と言って、わんわん泣きだした。
友達は変わらず「よしよし」と聞いてくれて、
私はいつの間にか眠っていた。
つづく
■ 本日の写真
西条の円座にて。
エンジェルが撮りたくて、初めてモノクロで撮影した。
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